日本大百科全書(ニッポニカ) 「室谷洞窟」の意味・わかりやすい解説
室谷洞窟
むろやどうくつ
新潟県東蒲原(ひがしかんばら)郡阿賀(あが)町神谷(かみたに)通称室谷神谷地(かみやち)に所在する洞窟遺跡。阿賀野(あがの)川の支流室谷川に面して南に開口する。地元民の休憩場所に利用されていたが、1960~62年(昭和35~37)長岡市立科学博物館の中村孝三郎が三次にわたって発掘し、13層に及ぶ文化層を確認した。最上層には歴史時代の須恵器(すえき)、土師器(はじき)があり、2層には弥生(やよい)土器、3層に縄文前期の土器や熟年女性の埋葬人骨があった。3層下部から5層までは縄文早期初頭の撚糸文(よりいともん)系土器様式をはじめとする早期の各種土器が含まれ、6~13層からは草創期の縄文系土器様式(室谷第一群土器)が大量に発見され、復原土器5点がある。この土器は方形平底で、頸(けい)部に段状文様帯を設けた独特な形態として注目される。
[小林達雄]