宿主選択(読み)しゅくしゅせんたく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宿主選択」の意味・わかりやすい解説

宿主選択
しゅくしゅせんたく

寄生生物宿主を選ぶこと。寄主選択ともいう。寄生生物はかなり限定された宿主を選ぶが、その選択の幅は寄生生物の種によって異なり、ウスバキチョウのようにコマクサにしか寄生しないものや、モンシロチョウのようにアブラナ科植物のほとんどに寄生できるものもある。

 宿主選択には、寄生生物にとって適当な宿主を選ぶ問題のほか、2種以上の宿主で成育可能である場合に、そのうちのどの宿主を選ぶかの問題がある。モンシロチョウがいろいろな植物のなかからアブラナ科植物を選んで産卵するのは前者の問題であり、アブラナ科植物のなかでもキャベツに好んで産卵するのは後者の問題である。

 寄生生物が、無数の生物のうちから特定の宿主をどのようにして選び出すかは、生物学上きわめて興味ある問題である。多くの場合、寄生生物は宿主の特定の化学物質手掛りとして宿主を選択している。たとえば、アブラナ科植物に含まれているからし油配糖体は、アブラナ科植物を宿主とする多くの昆虫誘引物質になっている。

[近藤高貴]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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