日本大百科全書(ニッポニカ) 「コマクサ」の意味・わかりやすい解説
コマクサ
こまくさ / 駒草
[学] Dicentra peregrina (Rudolph) Makino
ケシ科(APG分類:ケシ科)の高山植物。高さ5~15センチメートル。全草は粉白色を帯びた緑色。葉は無毛で細かく切れ込む。7~8月、5~10センチメートルの花茎を出し、数個の桃色の花をつける。萼片(がくへん)は2枚、花弁は4枚。外側の2枚の下部は袋状、内側の2枚は上端でくっつく。雄しべは6本、雌しべは1本。蒴果(さくか)は長楕円(ちょうだえん)形、中に黒い小さな種子がある。花の形が馬の頭に似ているところから駒草の名がある。アルカロイドを含み、木曽(きそ)地方では古くから薬草として利用されてきた。北海道、本州中北部の高山に生育し、樺太(からふと)(サハリン)、千島、カムチャツカ、シベリア東部にまで分布する。コマクサ属には8種があり、東アジア、北アメリカに分布する。
[寺林 進 2020年2月17日]