寄り神(読み)よりがみ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

寄り神
よりがみ

大八洲国(おおやしまのくに)とよばれた日本の国土は大小さまざまな山島の集合であるため、古くから寄り来(く)る神の信仰が行われている。これには二通りあって、山から降り来る神と、遠く海上から寄り来る神とがある。山間の民は死者が川をさかのぼって山に鎮まると信じ、海辺の民は海上はるかに常世(とこよ)の国の存在を思い、そこに死者の安住地を求めた。これらの祖霊は時期を定めてもとの故地に帰って子孫の祭りを受けることになっており、今日でも正月と盆の年中行事として伝存する。正月に門松を立てるのは山から祖霊を迎えるための標識であり、精霊(しょうりょう)流しは祖霊を常世の国へ送り返す信仰に由来する。諸国の神社にも寄り神を祭る例が多く、常陸(ひたち)(茨城県)の大洗磯前(おおあらいいそざき)神社は式内社(しきないしゃ)であり、対馬(つしま)には寄神神社があり、また寺院では、海中から網にかかって出現した観音像を本尊とする金竜山浅草寺(せんそうじ)(東京)がその一例。ことに四周を近く海に囲まれている沖縄には寄り神信仰が強く、ニライカナイとよぶ神がそれである。[菟田俊彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関連語をあわせて調べる