「拾芥抄‐東京図」には、富小路の東、二条の北の一町を富小路殿としているが、「花園院宸記‐文保元年四月一九日」には「今日新造内裏〈富小路西二条北〉遷幸也」とある。内裏新造にあたって、西へ一町拡げたものか。また、二条の南にも同じ名の邸があったらしい。
…鳥羽,崇徳,近衛3代の皇居となった土御門烏丸殿はその早い例であるが,さらに鎌倉時代に入って,幕府により造営された閑院は,紫宸殿・清涼殿をはじめ,平安内裏の後宮諸殿舎を除く表向殿舎の規模が本格的に取り入れられ,後鳥羽天皇以後8代の本所的皇居とされた。その間,後堀河天皇の1227年(安貞1)大内が焼亡廃絶したため,閑院は平安内裏に取って代わる皇居となったが,その閑院も後深草天皇の1259年(正元1)に焼失した後は再建されず,当時の持明院・大覚寺両皇統対立の情勢を反映して,前者は富小路殿を,後者は万里小路殿・二条殿を主要な皇居とした。しかし閑院再建の望みは消滅せず,ようやく1317年(文保1)幕府の資力により閑院内裏を模して富小路殿が新造され,花園,後醍醐2代の皇居となった。…
※「富小路殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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