朝日日本歴史人物事典 「富尾似船」の解説
富尾似船
生年:寛永6(1629)
江戸前期の俳人。京都の人。貞門の荻田安静の門人だが,延宝年間(1673~81)に西山宗因の談林俳諧が流行し始めると談林俳諧に転じ,最先端を行く作風を示した。延宝9(1681)年に刊行した『安楽音』は漢詩文調の先駆けをなした選集として知られるが,みずからも「屏風峙テリ是レ雛の世界桃ノ林」のような奇矯な句を作り,一時期最も先鋭的な俳人として活躍した。談林俳諧の衰退とともに俳風も変化したが,衒学的な傾向は一貫して変わらなかった。<参考文献>雲英末雄『元禄京都俳壇研究』
(田中善信)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報