富樫館(読み)とがしやかた

日本歴史地名大系 「富樫館」の解説

富樫館
とがしやかた

ほん町・住吉すみよし町付近に所在したとされる富樫氏の居館。富樫城ともいう。富樫氏は南北朝期以降たびたび加賀国守護および半国守護に補任されており、守護所は野市ののいちに置かれたとされ、富樫館が守護所となっていたとも考えられるが未詳。「白山宮荘厳講中記録」正中三年(一三二六)条にみえる守護富樫孫次郎家明は、富樫系図(尊経閣文庫)では久安ひさやす(現金沢市)久安氏の祖とされており、野市に守護所が定着するのは南北朝期以後のことか。なお「尊卑分脈」などによると、富樫氏は鎮守府将軍藤原利仁の後裔加賀斎藤氏の一流で、家国から富樫介を名乗ったとされる。承久の乱で同じ斎藤氏一流の林氏が衰退したため、加賀最大の武士団に発展。しかし家明の守護補任は疑問視されており、建武二年(一三三五)九月二七日の足利尊氏下文(写、四天王寺蔵「如意宝珠御修法日記」紙背文書)によって、富樫介高家に加賀国守護職が宛行われ、以後、氏春・昌家・満春・満成・持春・教家・泰高・成春・政親・稙泰の守護・半国守護在職が知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android