日本大百科全書(ニッポニカ) 「小樽内騒動」の意味・わかりやすい解説
小樽内騒動
おたるないそうどう
1868年(慶応4)閏(うるう)4月4日、小樽内(北海道小樽市)で起こった漁民一揆(いっき)。博徒、小商人、浪人らが、漁民数百人を集めて、諸税の軽減、新税反対、新政府の布告(減税などの新政が布告されると期待されていた)の公表を求めて蜂起(ほうき)。御用所を襲って御用金や銃を奪い、名主の家を占拠し気勢をあげたが、石狩詰の役人も動員され同月7日には鎮められた。博徒らの扇動による形をとったが、物価騰貴、生活難のなかで、漁獲物価格の下落という状況が背景となっており、新政への期待も大きかったという事情もあった。この結果、御用所も、貧民への救助米など騒動再発を警戒する施策をとらなければならなかった。
[田端 宏]
『長谷川伸三著『幕末の小樽と小樽内騒動』(『近世国家の解体と近代』所収・1979・塙書房)』