日本大百科全書(ニッポニカ) 「居住者・非居住者」の意味・わかりやすい解説
居住者・非居住者
きょじゅうしゃひきょじゅうしゃ
為替(かわせ)管理法上などで法の適用範囲を定める場合に用いられる概念。「外国為替及び外国貿易法」(昭和24年法律228号、平成10年改正)では、居住者は、(1)国内に住所または居所を有する個人、(2)国内に主たる事務所を有する法人、(3)国内にある外国法人の支店、出張所その他の事務所、とされている。本邦人は原則として居住者であるが、外国にある事業体(在外本邦公館を除く)に勤務する目的、または2年以上滞在する目的で外国にいる者および出国後外国に2年以上滞在するに至った者は非居住者である。外国人は原則として非居住者であるが、わが国にある事業体に勤務する者、または入国後6か月以上経過する者は居住者である。ただし外国政府または国際機関の公務を帯びた者は非居住者である。法人は一般に所在地の居住者となるが、公館は本国に所属する。為替管理上の規制は、居住者に厳しく、非居住者には緩やかなのが通例である。
また、所得税法(昭和40年法律33号)では、居住者とは国内に住所を有するか、または引き続いて1年以上居所を有する個人をいい、非永住者(国内に永住する意思がなく、かつ現在までの滞在期間が5年以下の者)を除き、すべての所得に所得税が課される。
[土屋六郎]