居徳遺跡(読み)いとくいせき

日本歴史地名大系 「居徳遺跡」の解説

居徳遺跡
いとくいせき

[現在地名]土佐市高岡町乙

高知平野西部を流れる仁淀によど川右岸に形成された沖積平野に立地している。平成九年(一九九七)・一〇年に四国横断自動車道建設に伴う発掘調査が実施された。その結果、低湿地の埋没残丘の斜面から縄文時代後期から古墳時代を中心とする大量の遺物が出土し、数多くの注目すべき成果を収めている。

調査区南部の1区からは、縄文晩期の刻目突帯文土器と遠賀川式土器が共存する状態で大量に出土している。前者は一条突帯が多数を占めており、遠賀川式土器は高知平野最古のIa期を欠いてIb期から始まり、Ic期が多い。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

知恵蔵 「居徳遺跡」の解説

居徳(いとく)遺跡

1998年、高知県土佐市で発見。約2500年前(縄文晩期)以前の木製農耕具、赤漆塗り円盤、おびただしい戦傷人骨などが見つかって、注目されていた。2003年初め、同人骨は約3200年前(縄文後期)にさかのぼる可能性があり、しかも金属器による傷跡だとの科学的調査結果が打ち出された。通説を塗り替える縄文戦争の実態が、より明確になった。

(天野幸弘 朝日新聞記者 / 今井邦彦 朝日新聞記者 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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