狂言の曲名。雑狂言。和泉(いずみ)流では『井杭』と書く。お出入りの家でいつも頭をぽんぽんたたかれるのに閉口した居杭(シテ)が、清水(きよみず)の観世音に祈願して頭巾(ずきん)を授かる。この日もいつものようにたたかれるので、さっそく頭巾をかぶると姿が消えてしまう。主人が通りかかった易者に居所を占わせると、ことごとく当たるので、居杭はそのつど居所を変え、算木を隠したり、2人の耳を引っ張ったり、いたずらのしほうだい。最後は、さまざまないたずらが互いに相手のせいだとけんかを始めた2人の前に姿を現し、追い込まれる。今日では居杭を子供が演じることが多く、無邪気な童話的世界がいっそう生き生きと楽しいものになっている。類型的な登場人物が多い狂言のなかで、易者が活躍するなど市井の風俗を描いて珍しい。
[油谷光雄]
春になって暖かくなりかけた頃、急に寒さが戻って、地面などがまた凍りつく。《 季語・春 》[初出の実例]「七瀬御秡 同晦日也。〈略〉雪汁いてかへる」(出典:俳諧・誹諧初学抄(1641)初春)...