岩槻市(読み)イワツキシ

デジタル大辞泉 「岩槻市」の意味・読み・例文・類語

いわつき‐し〔いはつき‐〕【岩槻市】

岩槻

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日本歴史地名大系 「岩槻市」の解説

岩槻市
いわつきし

面積:四九・二〇平方キロ

県の東部に位置し、北は蓮田市・南埼玉郡白岡しらおか町、東は春日部市・越谷市、西から南は大宮市・浦和市・川口市に接し、東部を元荒川、西部を綾瀬川が流れる。市域は東西約九・四キロ、南北約一三・六キロで、北西方向から南東方向に細長い形をしている。地形はサトと称されている岩槻台地とノガタと称されている沖積平野からなり、台地と低地が複雑に入組み、起伏に富んでいる。岩槻台地は北西から南東方向に細長く延び、雨水の浸食作用を受けて多くの浸食谷が形成されている。気候は太平洋側気候に属し、年平均気温は一五度前後、平均湿度は六〇パーセント前後、年間降水量は六〇〇から一〇〇〇ミリと温暖湿潤で、比較的温和な土地柄である。鉄道は市の中央部を北東―南西方向に東武鉄道野田線が走り、岩槻駅・東岩槻駅がある。道路は東北自動車道・国道一二二号が市の西側を縦断し、国道一六号が北東―南西方向に中央部を通過。そのほか主要地方道岩槻―幸手さつて線・越谷―岩槻線、県道春日部―岩槻線・大宮―岩槻線・野田―岩槻線・岩槻停車場線などがある。

市名は市成立時に核となった岩槻町に由来。岩槻は中世から近世初期にかけては岩付と書かれた。

〔原始〕

縄文時代に奥東京湾の海岸線となっていた台地の縁辺には貝塚をはじめ大小多数の遺跡が分布し、県下でも有数の考古遺跡地帯となっている。前期の黒谷くろや貝塚をはじめ二〇ヵ所以上の貝塚があり、貝塚の貝を取除くと竪穴住居跡が現れる。貝層はハイガイ、カキなどの海水産がほとんどで、貝以外の魚類や獣類はあまり出土しない。このほか前期の遺跡としてみなみ遺跡(花積下層式)・黒谷遺跡(黒浜式)かけ貝塚(諸磯a式・b式)などがある。掛貝塚では黒浜式土器―諸磯a式・b式土器を伴う竪穴住居跡が発見されている。またかすみヶ浦周辺に分布をもつ浮島式土器も発見されている。中期は遺跡の数が急増するが、この頃の遺跡は台地上に断続的に続いている。裏慈恩寺東うらじおんじひがし遺跡は中期終末から後期初頭まで続いている。また桜山さくらやま貝塚から堀之内I式土器を伴う竪穴住居跡が発掘されている。後期から晩期にかけての遺跡は著しく減少するが、市域には真福寺しんぷくじ貝塚・裏慈恩寺遺跡・黒谷田端前くろやたばたまえ遺跡など著名な遺跡がある。真福寺貝塚は昭和五〇年(一九七五)に国指定史跡となったが、第二次世界大戦前から大山史前学研究所などが十数回にわたって発掘調査を実施している。この遺跡は多数の貝塚が円形に分布し、土器・耳飾・土偶・土版・石剣・石棒などの遺物が発掘されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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