朝日日本歴史人物事典 「岩田好算」の解説
岩田好算
生年:文化9(1812)
幕末・明治初期の和算家。江戸の生まれ。名は専平。関流馬場正統の弟子。和算家では最後の世代に属する。明治10(1877)年に『東京数学会社雑誌』の第1号に「ひとつの楕円に2直線が接するとき,それらに接する4つの円の直径は比例」という問題を発表した。菊池大麓はこれの程度の高さに驚き,和算の認識を改めて和算史の保存事業に着手することになる。この問題の解答を岩田は和算式に書くと52枚の紙を必要としたが,のちに寺尾寿が洋算を用いて簡単に解いてしまった(1885)。和算と洋算の交代を象徴的に示す逸話である。<参考文献>『日本の数学100年史』上,日本学士院編『明治前日本数学史』4巻
(佐藤賢一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報