関流(読み)せきりゅう

精選版 日本国語大辞典 「関流」の意味・読み・例文・類語

せき‐りゅう ‥リウ【関流】

〘名〙
和算流派の一つ。関孝和の流れをくむもの。
随筆・一話一言(1779‐1820頃)一三「算術名高き関流の祖関新助墓は」
砲術の流派の一つ。江戸初期、霞流砲術の祖丸田九左衛門盛次の門人、関八左衛門文信のはじめたもの。土浦藩の関家が流儀を伝える。
平家琵琶の流派の一つ。八坂検校城玄(城元)を祖とする。関派。

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デジタル大辞泉 「関流」の意味・読み・例文・類語

せき‐りゅう〔‐リウ〕【関流】

和算の一流派。孝和たかかずを祖とする。
砲術の一派。江戸初期に起こり、関八左衛門文信を祖とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「関流」の意味・わかりやすい解説

関流 (せきりゅう)

和算の流派の一つ。数学の流派はその研究の対象が数学なので,流派の間の違いはほとんどない。流派によってはほんの少し数式の表し方に違いのあることもある。関流というのは,関孝和の弟子,あるいは孫弟子に教わったという意味である。関流という名称を初めて使ったのは関孝和の孫弟子松永良弼で,松永の弟子山路主住から関流何伝というようになった。初伝荒木村英,2伝松永良弼,3伝山路主住,4伝安島直円,藤田貞資,5伝日下誠,6伝和田寧,内田五観と続く。関流は建部賢弘,中根元圭,久留島義太ほか多数のりっぱな数学者が輩出したので他の流派を圧倒した。関西では宅間能清始祖とする宅間流があり,鎌田俊清というりっぱな数学者が出た。大島喜侍の弟子三池市兵衛を始祖とする三池流は金沢を中心として広がった。関孝和と同時代の中西正好を始祖とする流派を中西流という。そのほか,流派は日本中いたるところにたくさんあるが,これらの流派の間はとくに排他的ではなく,それぞれよいところを吸収しあって発展した。会田安明を始祖とする最上流と関流との論争はまったく偶然のできごとであった。もちろん,流派の間での対抗意識はないわけではなく,日本人の数的知識を広める役割も果たした。
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