日本大百科全書(ニッポニカ) 「島留学」の意味・わかりやすい解説
島留学
しまりゅうがく
過疎や少子化の問題を抱える日本の離島で、全国から小・中学生や高校生を募集し、留学生として受け入れる制度。離島留学ともいう。山村留学の一種で、豊かな自然や離島独特の文化、人間関係のなかで、長期間にわたって親元を離れ、自立した生活を体験する。島留学の制度は、1986年(昭和61)に新潟県佐渡島の羽茂(はもち)町立小村(こむら)小学校と同羽茂中学校で始まり、高等学校では、2003年度(平成15)より長崎県で実施されたのが最初である。自治体の制度によって異なるが、原則として1年間を区切りとし、希望により継続できる。入学希望者は制度の実施団体で面談を受けるなどして入学が決まると、島が設けた制度に従って、全寮制や里親制などを利用して生活を始める。留学中に生じる学費や生活費、交通費などの費用は実親が支払うが、自治体が費用を一部負担する助成制度を設けている場合が多い。親子で島へ移住する親子留学の場合には、住宅支援やUターン、Iターンの情報提供などの支援が受けられる。
2012年度には、北海道利尻島(りしりとう)や新潟県佐渡島、長崎県五島(ごとう)、鹿児島県徳之島など全国57校の小・中学校で受け入れが行われ、島根県や長崎県では県立高校への島留学にも力を入れている。2010年度から島留学制度を採用している島根県立隠岐島前(おきどうぜん)高校では、寮費や学費、食費の補助を行い、毎年全校生徒の3割を超える島外出身者を受け入れている。島外出身者と島内出身者がお互いに刺激を与えながら、地域で活躍するような人材に育ってくれることを目的として始められたが、地元にとっては、周辺の3島から子どもが通う1校だけの高校を維持し、島内出身者の学ぶ環境を守ることも重要な課題となっている。
[編集部]