日本大百科全書(ニッポニカ) 「工業所有権情報・研修館」の意味・わかりやすい解説
工業所有権情報・研修館
こうぎょうしょゆうけんじょうほうけんしゅうかん
工業所有権の公報の閲覧や、特許情報(工業所有権情報)の提供などを行う中央資料館で、経済産業省所管の独立行政法人。英語名はNational Center for Industrial Property Information and Training、略称はINPIT。独立行政法人工業所有権情報・研修館法(平成11年法律第201号)に基づいて2001年(平成13)設立。本部は東京都千代田区霞が関。
工業所有権情報・研修館は、1884年(明治17)農商務省工務局内商標登録所図書係で図書の閲覧、商標見本の観覧を開始したことにその淵源を求められる。1887年には農商務省特許局庶務部内に図書館が設置された。1918年(大正7)に陳列館を併設し、1924年に図書館を廃止して陳列館に併合した。1952年(昭和27)に万国工業所有権資料館と改称、1997年(平成9)には工業所有権総合情報館と改称した。2001年(平成13)4月、独立行政法人となり、2004年、工業所有権情報・研修館と改称し、情報提供業務、人材育成業務等を開始した。
工業所有権情報・研修館は、発明、実用新案、意匠および商標に関する公報、審査および審判に関する文献その他の工業所有権に関する情報の収集、整理および提供を行うとともに、特許庁の職員その他の工業所有権に関する業務に従事する者に対する研修を行うこと等により、工業所有権の保護および利用の促進を図ることを目的としている。そのために以下の業務を行っている。(1)工業所有権関係の公報閲覧(国内外で発行されている電子媒体・紙媒体の公報の閲覧)。(2)審査・審判資料の提供(特許庁の審査・審判で利用する図書等、審査資料の検索)。(3)知的財産情報の高度活用による権利化の推進。(4)情報普及。(5)工業所有権相談。(6)情報システム関連事業。(7)研修。(8)特許・知的財産業務に関する人材育成。2012年4月時点での職員数は92人。
[編集部]