発明,実用新案,意匠および商標という工業所有権に関する手続・運営を行う行政機関。経済産業省の外局である。
1884年6月〈商標条例〉公布により農商務省工務局に〈商標登録所〉が設けられ,翌年4月には〈専売特許条例〉が公布され同局に〈専売特許所〉が設けられた。さらに86年2月に農商務官制の公布とともに新たに専売特許および商標登録の事務を管掌する〈専売特許局〉が設置されたのがその前身である。88年高橋是清局長の下ではじめて庶務部,審査部,審判部の3部が並立する現在の官制の原型が整えられた。その後官制改正に伴ういくたの変遷があったが,1949年に通商産業省設置法の公布によりその外局となり(2001年の省庁再編により経済産業省の外局に改編され),現在に至っている。
その具体的任務は,特許,実用新案,意匠および商標について,出願を受け付け,審査し,権利となったものを登録するほか,工業所有権の効力判定に関する審判を行い,弁理士試験を実施するというものである。以上の業務を遂行するために,特許庁には,総務部,第1~第5審査部,審判部が置かれているほか,付属機関として,万国工業所有権資料館,工業所有権研修所,弁理士審査会および工業所有権審議会が設置されている。特許制度を施行している諸国では,工業所有権行政については,アメリカの特許商標庁U.S.Patent and Trademark Office,ドイツの特許庁Deutschespatentamt等各国においても日本と同様にそれぞれ独立の行政機関により運営されている。なお,ヨーロッパでは,1977年にヨーロッパ特許条約を発効させ,これに基づいてヨーロッパ特許庁が設置され,ヨーロッパの条約加盟国への出願を統一的に取り扱っていることが注目される。国際的には特許協力条約が78年に発効している。特許庁は,工業所有権に関する権利付与官庁としてのみ考えられがちであるが,今日年々累積していく膨大な特許情報は権利情報であると同時に最先端の技術情報なのである。そこで,これを,産業や社会に円滑に還元し,有効に活用していくこともその重大な使命の一つとなってきている。また,工業所有権分野における条約等の交渉,国際協力の推進等国際社会における役割も重要な一分野を占めるに至っている。
執筆者:三平 圭祐
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経済産業省の外局。発明、実用新案、意匠および商標に関する事務を行うことを主たる任務とする。具体的に特許庁がつかさどる事務は、工業所有権(産業財産権)における審査等のほか出願に関すること、工業所有権の原簿登録、特許証および登録証の交付、特許料および登録料の収納その他登録に関すること、工業所有権についての審査に関すること、工業所有権に関する審判に関することなどである。またその権限は、弁理士試験を行い、工業所有権の出願につき決定および査定し、工業所有権を登録し、工業所有権に関する審判を行うことである。これらの事務を遂行するため、総務部、審査業務部、特許審査(第一~四)部、審判部のほか、審議会として工業所有権審議会がある。なお、2001年(平成13)1月の省庁再編までは、通商産業省の外局であった。
[平田和一]
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…物資別局としては,鉄鋼・非鉄・化学工業等を担当する基礎産業局,機械工業や情報産業,電子工業等の知識集約産業,宇宙産業等を担当する機械情報産業局,繊維・生活用品,窯業建材,住宅産業等を担当する生活産業局の3局がある。外局としては,石油,石炭,原子力,電力,ガス等資源行政,エネルギー行政を一体的に担当する資源エネルギー庁,特許,実用新案,意匠,商標等工業所有権に関する事務を担当する特許庁,各産業分野の中小企業を全体として担当し,その近代化,合理化,組織化や中小企業関係の金融・税制等中小企業行政全般に責任をもつ中小企業庁の三つがある。さらに,付属機関として鉱工業の科学技術に関する試験研究を担当する巨大機構としての工業技術院があり,その本院においてはサンシャイン計画,ムーンライト計画等をはじめとする大型のプロジェクトや工業標準を担当するとともに,その傘下に電子技術総合研究所等15の試験研究機関を持っている。…
※「特許庁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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