改訂新版 世界大百科事典 「市況商品」の意味・わかりやすい解説
市況商品 (しきょうしょうひん)
商品市場での取引状況を商品市況というが,商品市況の構成要素には,値動き,荷動き,決済条件,受渡し条件などがある。市況商品とは,これら各要素がその商品の需給関係に応じて敏感に変化する商品の総称である。市況の構成要素は絞っていけば値動きに帰着するから,市況商品の最大の特徴は価格の変動が大きい点にある。市況商品には,国内に需給の基盤を置く鋼材,原糸(綿糸,毛糸,スフ糸など),合板など国内主導の市況商品と,輸入依存度が高い銅,鉛,亜鉛,スズなどの非鉄金属,砂糖,大豆,トウモロコシなどの農産物,および金,銀,白金など貴金属を代表とする海外主導の市況商品とがある。後者は国際商品とも呼ばれ,国内相場は,海外の指標市場価格を為替で調整して大枠が決まる商慣習になっているものが多い。1970年代後半の安定成長期入りとともに,国内型市況商品も,人件費,素材料格差を利した各国からの輸入が増え,海外との連動色が強まっている。
→市況産業
執筆者:米良 周
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報