希土類コバルト磁石(読み)きどるいコバルトじしゃく(その他表記)rare earth permanent magnet

改訂新版 世界大百科事典 「希土類コバルト磁石」の意味・わかりやすい解説

希土類コバルト磁石 (きどるいコバルトじしゃく)
rare earth permanent magnet

希土類元素,とくにサマリウムSmとコバルトCoの化合物で,きわめて優れた永久磁石永久磁石材料にはKS鋼MK鋼からアルニコ系磁石に至る合金鋼磁石とフェライト磁石が20世紀の初めから中ごろまでに開発され実用化されているが,1960年代に希土類元素とコバルトの金属間化合物のいくつかがきわめて大きい結晶磁気異方性をもつことが発見され,この系統の磁石の研究・開発が活発に進められている。とくに重要なものはサマリウムとの化合物SmCo5で,永久磁石の性能の目安となる最大エネルギー積が従来の磁石に比べてきわめて大きい。さらに高性能のものとして,Sm2Co17の型のものが開発されている。これらの磁石には,粉末高温で焼結して焼結磁石とするか,焼結磁石の加工性が悪いことから,磁石粉末と樹脂とを混ぜて加圧成形するものがある。これらの磁石はその特性から小型で軽量の強力な磁石を作ることができ,用途が拡大していくものと思われる。
磁性材料
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「希土類コバルト磁石」の意味・わかりやすい解説

希土類・コバルト磁石
きどるいこばるとじしゃく

希土類元素のセリウムCe、サマリウムSmとコバルトCoとの化合物(CeCo5、SmCo5、Sm2Co17)の磁気的性質を利用してつくられる永久磁石。1968年、アメリカのストルナットStrnatとホッファーHofferのイットリウム・コバルト化合物YCo5の磁石特性の研究に端を発し、多くの研究によって、現在もっとも強力な磁石となった。サマリウム・コバルト磁石の性能はKS鋼に比べ約30倍の強さを示す。腕時計をはじめ各種電子機器に利用され、機器の小型化、性能向上に寄与している。

[本間基文]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android