サマリウム(読み)さまりうむ(英語表記)samarium

翻訳|samarium

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サマリウム」の意味・わかりやすい解説

サマリウム
さまりうむ
samarium

周期表第3族に属し希土類元素の一つ。1879年、フランスのボアボードランがサマルスキー石から分離し、鉱物の発見者であるロシアのサマルスキー・ビホベッツVasilii Erafovich Samarski-Bykhovets(1803―1870)にちなんで命名した。主要鉱物はサマルスキー石、ガドリン石、セル石などである。酸化物を金属ランタンで還元して灰白色の金属を得る。空気中で150℃以上に熱すると酸化物になる。熱水、希酸に水素を発して溶ける。普通、酸化数+Ⅲの化合物をつくるが、+Ⅱのものもある。サマリウム(Ⅲ)化合物の常磁性は、希土類元素化合物中もっとも弱い。天然に存在する同位体のうちサマリウム147はα(アルファ)放射体なので弱い自然放射能をもつ。

[守永健一・中原勝儼]



サマリウム(データノート)
さまりうむでーたのーと

サマリウム
 元素記号  Sm
 原子番号  62
 原子量   150.36±3
 融点    1080℃
 沸点    1790℃
 比重    7.36
 結晶系   六方
 元素存在度 宇宙 0.23(第65位)
          (Si106個当りの原子数)
       地殻 6.0ppm(第39位)
       海水 0.43×10-3μg/dm3

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サマリウム」の意味・わかりやすい解説

サマリウム
samarium

元素記号 Sm ,原子番号 62,原子量 150.36。周期表3族,希土類元素ランタノイド元素の1つ。 1879年に L.ボアボードランがサマルスキー石から発見した。サマルスキー石,セル石,褐簾石,モナズ石などに比較的多量に産する。単体は黄灰色の金属,融点 1072℃,比重 7.536。ごく弱い天然放射能をもつ。熱水と作用して水素を発生し,無機酸に溶ける。3価の陽イオンのほか2価もつくる。コバルト合金でつくられるサマリウム・コバルト磁石はネオジム系合金の磁石についで強力。

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