日本大百科全書(ニッポニカ) 「平山冷燕」の意味・わかりやすい解説
平山冷燕
へいざんれいえん
中国、清(しん)初の才子佳人小説。全20回。編者は荻岸(てきがん)山人とあるが未詳。書名は、作中の二組の男女、平如衡(じょこう)と山黛(さんたい)、冷絳雪(こうせつ)と燕白頷(はくがん)の姓をとったもの。内容は、白燕の飛ぶのを見て天子が詩を求め、大学士山顕仁(さんけんじん)の娘黛の献上した詩を賞賛して玉製の尺(ものさし)を賜る。冷は売られて黛の侍女となるが、詩才で天子に知られる。平と燕は、黛と唱和をして詩才を争ったことで他から非難されるが、科挙の試験に首席、次席で合格したので、天子は山顕仁に命じて山と燕、冷と平を結婚させるというもので、女性の詩才を賛美する点が清代を反映している。のちに『玉尺楼』という戯曲にもなり、またジュリアンStanislas Julienの仏訳(1826)がある。
[尾上兼英]