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山人 やまびと

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

山人
やまびと

風体,慣習の異なった山男,山女といわれる人々。山奥深く入った者がときとしてこういう山人に出会ったという話がある。裸体で体躯が大きく赤ら顔といわれる。東北地方,信州,九州などで山小屋へ山男が来て餅をせがんだという話が伝えられている。精神に異常をきたした人,特に女性が,家を抜け出て山中に入り山男の妻となり,その後里へ姿を現したなどの噂話も伝えられている。日本には古代から巨人の伝説があるが,この山男について柳田国男は先住民の子孫とする説を発表した。

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デジタル大辞泉の解説

さん‐じん【山人】

山中に住む人。また、世俗を嫌って山中に隠棲する人。
文人・墨客(ぼっかく)が雅号に添えて用いる語。「風来山人

やま‐びと【山人】

山に住む人。山で働く人。きこりや炭焼きなど。
仙人。神仙。
「―にもの聞こえむといふ人あり」〈堤・花桜をる少将

やもうど〔やまうど〕【人】

やまびと」の音変化。
「―の語りけるに」〈発心集

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百科事典マイペディアの解説

山人【やまひと】

里と交渉をもたず,慣習を異にする山中の住人。山男や山姥(やまうば)など。先住民の子孫,山の神またはその奉仕者,天狗(てんぐ)などの妖怪と想像されている。赤顔裸体の巨人で,里に現れて塩を求めるともいわれる。
→関連項目妖怪

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世界大百科事典 第2版の解説

やまひと【山人】

山間を生活の根拠として,独自な文化の体系を形成していたと考えられる人々。《延喜式》や《万葉集》などにも記されているが,その実体は不明な点が多い。山人の伝承は全国の山間の村で聞くことができたが,その多くは山男,山姥(やまうば),天狗などの妖怪の類である。里に住んで水田稲作農業に従事している人々からは,山は異質の空間であると認識され,畏怖観念でとらえられていたため,多くの怪異を生み出したのである。

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大辞林 第三版の解説

さんじん【山人】

山中に住む人。山中に隠棲する人。
文士・書家などが号の下に添える語。 「紅葉-」

やまびと【山人】

山に住む人。きこり・炭焼きなど山で働く人。
山深くかくれ住む人。仙人。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

山人
やまびと

普通、山稼ぎをする木こりや炭焼きのことをいう。かつては村人に対して、山中にいた住民を山人または山男とよんで、先住民の子孫と考えられていた。明治時代まで村ではこの人々に出会ったという話がよく伝えられた。町の市(いち)などに現れたとか、山中に大男が寝ていて、脱いだ大きな履き物があったとかいう。農民にとって、山間に住む人への畏怖(いふ)感の反映がみられる。江戸時代、津村淙庵(そうあん)の著した『譚海(たんかい)』(1795)に次のような記事がある。相模(さがみ)国(神奈川県)箱根に山男というものがいた。裸体で木葉樹皮を衣とし深山中に住んで赤腹魚をとるのを業としていた。市があるのを知っていてこの魚をもってきて米と交換した。交易のほか多言せず、交易が終わると道のない所を鳥の飛ぶように帰っていった。小田原の城主もこのことを知っていて、けっして鉄砲などで打ってはならぬと制していた、という。
 山人という語は、古代の文献にもみえているが、それが当時においても先住民を意味していたかどうかはよくわからない。古文献によると、山人が都に出て宮廷に仕えた記事もあり、『江家次第(ごうけしだい)』(1111)によると庭燎(にわび)の役を勤めたとある。[大藤時彦]

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世界大百科事典内の山人の言及

【猟師】より

…両者は近代まで混用されており,区別する必要がある場合は,野獣を捕る者を狩人,川魚漁を川立ち,海魚・湖魚を捕獲する人を漁師または漁人といっていた。九州では〈りゅうし〉と発音して山猟をする者を区別し,あるいは山人(やまと)という。奥羽地方では山猟者に山立ちあるいはマタギの名がある。…

【神】より

…異装の来訪神については,民俗文化における山と里の交流という背景が考えられている。村里に定着して,稲作農耕に従事している平地民と,山中奥深くで漂泊していた山人(やまひと)(山民)との間の文化交流は,歴史的伝統をもっている。稲作農耕民の祖霊信仰には,田のカミと山のカミの複合した形が見られるが,この正月の異装の神は,山人の信仰の対象であった山中のカミの具象化した姿であり,この存在は,里の農民たちにとって,畏怖されていたと思われる。…

※「山人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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