幾瀬(読み)イクセ

デジタル大辞泉 「幾瀬」の意味・読み・例文・類語

いく‐せ【幾瀬】

いくつかの瀬。また、たくさんの瀬。
大井川かがりさしゆく鵜飼舟―に夏の夜を明かすらむ」〈新古今・夏〉
多くのこと。ひとかたならぬこと。かずかず。
「それは―の物案じ、それ故にこの病」〈浄・阿波鳴渡

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「幾瀬」の意味・読み・例文・類語

いく‐せ【幾瀬】

〘名〙
① 幾つかの浅瀬
古今六帖(976‐987頃)三「はつせ川いくせかわたるわぎもこがおきてしくればやせこそわたれ」
② 多くの機会。なみなみでない程度心配苦労恋慕などを意味する語を修飾する。浅瀬で流れが波立つように、心がさわぎ立つ意からいう。
※雲形本狂言・縄綯(室町末‐近世初)「此様な所にいつまで奉公をせうと思ふて、いくせの思ひをしました」
③ 一般に、多くのこと、ひとかたならぬさまをいう。
説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)八「さてみづからが、いくせのことを申だに、つゐに御せういん、御さなふて、いまのうきめのかなしやな」

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