朝日日本歴史人物事典 「床次正精」の解説
床次正精
生年:天保13(1842)
明治期の洋画家。鹿児島生まれ。幕末に長崎でイギリス軍艦内の油絵をみて驚嘆し,以後独学で油彩画法を修得する。明治5(1872)年,司法省に入り,1級検事補などを経て,10年権少検事となり東京裁判所,仙台上級裁判所に勤務。仙台在任中,松島の実景2面を写生し宮中に献上した。また,来日中のグラント将軍像を制作し名を高め,14年には参議伊藤博文の肖像を描いた。翌年宮内省御用掛,17年には農商務省御用掛に任じられ博覧会事務取扱を命じられた。帝国憲法発布に際し,23年式場図などを描く。油彩画に「三田製紙所」「西郷南洲像」など。
(三輪英夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報