日本大百科全書(ニッポニカ) 「廃絶録」の意味・わかりやすい解説
廃絶録
はいぜつろく
江戸幕府の旗本(御持筒(おもちづつ)同心)小田又蔵彰信(またぞうあきのぶ)の著。三巻。文化(ぶんか)年間(1804~18)成立。大名の減封、除封を中心に、関ヶ原の戦い以降年月順に記述したもの。同じ著者になる『恩栄録』とともに、大名の配置・移動・加除・転廃を知るうえでの貴重史料。『廃絶録』には諸本があり、収載年次の下限を異にしているが、『改訂史籍集覧』所収本は1865年(慶応1)まで収録している。これは後人によって漸次追加されたことを示しているが、『恩栄録』とともにおびただしい誤謬(ごびゅう)がある。藤野保校訂になる『恩栄録・廃絶録』は、各種の文献と照合し、厳密な校訂を加え、その誤りを正したもの。
[藤野 保]
『藤野保校訂『恩栄録・廃絶録』(『日本史料選書 六』1970・近藤出版社)』