建初寺(読み)けんしょじ

精選版 日本国語大辞典 「建初寺」の意味・読み・例文・類語

けんしょ‐じ【建初寺】

  1. 中国江蘇南京にある寺。二四七年呉王孫権が建立揚子江以南の地に建てられた最初の寺。以後、南朝の国の交替により名称も変わったが、明代まで江南仏教の中心として栄えた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「建初寺」の意味・わかりやすい解説

建初寺
けんしょじ

中国、江蘇(こうそ)省建康(南京(ナンキン))にあった寺。揚子江(ようすこう)(長江)以南の地に最初に建てられた寺として知られる。247年、建康にきた交趾(こうち)の沙門(しゃもん)康僧会(こうそうえ)が住した祠廟(しびょう)を、信者となった呉王(ごおう)、孫権(そんけん)が仏寺としたのに始まる。その地を仏陀里(ぶつだり)と名づけ、寺前に大市が開かれたため大市寺(だいしじ)とも称した。東晋(とうしん)の初め密教を伝えた帛尸梨蜜多羅(はくしりみたら)が住したが、蘇峻(そしゅん)の乱のため328年に焼失、奉仏者の何充(かじゅう)によって復興された。南朝の国の交替によって名称も変わり、天子(てんし)寺、長慶(ちょうけい)寺、奉先(ほうせん)寺、天嬉(てんき)寺、大報恩(だいほうおん)寺などと称されたが、建康を中心とする江南仏教の中心として大いに栄えた。

鎌田茂雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android