引倍木(読み)ヒヘギ

デジタル大辞泉 「引倍木」の意味・読み・例文・類語

ひ‐へぎ【引倍木】

ひきへぎ」の音変化。
「関白殿の御下襲したがさねの菊の―かがやきて」〈栄花駒競べの行幸

ひき‐へぎ【引倍木】

あこめの裏を引きはがして仕立てた夏用のひとえ衣服

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精選版 日本国語大辞典 「引倍木」の意味・読み・例文・類語

ひき‐へぎ【引倍木】

〘名〙 夏装束下着の袷の裏を除去して表地だけを着用すること。打物の下着類を、板引にして用いることが多くなったために、これも後世、板引が普通となった。ひへぎ。
※富岡本栄花(1028‐92頃)音楽「そがなかにも紅撫子ひきへぎかがやきわたれるに」

ひ‐へぎ【引倍木】

〘名〙 「ひきへぎ(引倍木)」の変化した語。
※栄花(1028‐92頃)駒競の行幸「関白殿の御下襲の菊のひへぎかがやきて目留りたる」

ひっ‐ぺぎ【引倍木】

〘名〙 「ひきへぎ(引倍木)」の変化した語。
※天正本節用集(1590)「引倍 ヒッヘギ 木具

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世界大百科事典(旧版)内の引倍木の言及

【衵】より

…後世には,束帯のみに用いたり,またこれを省略することもあった。春,冬のもので,夏,秋には単衣で引倍木(ひへぎ)といった。天皇は打衣(のちに板引になった)で,紅綾に小葵の紋のものであった。…

※「引倍木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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