日本大百科全書(ニッポニカ) 「弘忍」の意味・わかりやすい解説
弘忍
こうにん
(601―674)
中国、唐代の僧。中国禅宗の第五祖。臨済(りんざい)宗では「ぐにん」という。俗姓は周氏。諡号(しごう)は大満禅師。蘄州(きしゅう)(湖北省)黄梅(おうばい)に生まれ、7歳で蘄州双峰山の禅宗第四祖、道信(どうしん)(580―651)の弟子となった。久しくその会下(えげ)にあって修行を重ね、大法の付嘱を受けた。道信の寂後、双峰山の東の憑茂(ひょうも)山に移り、700人の会下を擁して禅風の挙揚に努め、その禅風は東山法門とよばれた。門下に神秀(じんしゅう)、慧能(えのう)をはじめ十大弟子といわれる優れた門人を輩出し、中国各地に禅を広める基礎を築いた。著作に『修心要論』1巻がある。
[田中良昭 2017年2月16日]