日本大百科全書(ニッポニカ) 「弥彦舞楽」の意味・わかりやすい解説
弥彦舞楽(やひこぶがく)
やひこぶがく
新潟県の弥彦(いやひこ)神社(西蒲原(にしかんばら)郡弥彦(やひこ)村弥彦)に伝わる舞楽。7月25日の灯籠(とうろう)神事の夜半にのみ拝殿前の仮舞台で奏される神歌楽(かがらく)と天犬舞(あまいぬのまい)のほかに、太々神楽(だいだいかぐら)(舞楽)と小神楽がある。神歌楽と天犬舞は9歳前後の男児が勤め、ともに装束は紅梅の水干(すいかん)に大口(おおくち)。神歌楽はこれに銀烏帽子(ぎんえぼし)をつけ、羯鼓(かっこ)を撥(ばち)で打ちつつ舞う、いわゆる羯鼓の舞。天犬舞は頭に天犬の面を頂き、赤熊(しゃぐま)を垂らした獅子(しし)舞ともいわれる舞である。楽器は小太鼓一に笛二。太々神楽は4月18日の妻戸大神の例祭に奉奏されるが、期間により毎土曜日に2、3番の奉奏がある。その曲目には『地久楽(ちきゅうらく)』『鉾(ほこ)の舞』『弓の舞』『龍王』『轔訶(りんか)』『安摩(あま)(神面(かんめん)、二の面を含む)』『児納曽利(こなそり)』『甘珠(かんじゅ)』『抜頭(ばとう)』『大納曽利(おおなそり)』『泰平楽(たいへいらく)』があるが、内容は中央の舞楽とだいぶ異なる。小神楽は御神楽(おかぐら)ともいわれる巫女舞(みこまい)であり、日曜日ごとに奉納している。
この弥彦神社の灯籠おしと舞楽は国の重要無形民俗文化財に指定されている。
[高山 茂]