巫子舞、御子舞、神子舞などとも書き、巫女神楽(かぐら)ともいう。もと神に仕える巫女が神がかりして託宣するために舞をまった。巫女舞はこうした神がかりの舞が洗練され様式化されたもので、のちには社頭における鈴を振りながらの祈祷(きとう)の奉納舞にもなった。また湯立(ゆだて)をつかさどったのも多くは巫女で、湯立に伴う湯清めの舞をまった。古代には記紀にみえる天岩屋戸(あめのいわやど)の天鈿女命(あめのうずめのみこと)が神がかりして俳優(わざおぎ)したのや、『古語拾遺』に「さる女君(めのきみ)ノ氏ハ神楽ノ事ニ供ヘ」とある神楽も、ともに巫女舞であったと考えられる。宮中の内侍所御神楽(ないしどころのみかぐら)には巫女舞はみられないが、鎮魂祭や園并韓神祭(そのならびからかみのまつり)などの神楽には巫女舞があった。伊勢(いせ)、出雲(いずも)、石清水八幡(いわしみずはちまん)、住吉、春日(かすが)などの大社には古くから巫女舞が行われてきた。とくに春日大社の巫女舞は八乙女(やおとめ)舞とも称し、延喜(えんぎ)(901~923)のころに藤原忠房(ただふさ)の歌(『拾遺集』所収)にも詠まれていた。現在の巫女舞は1872年(明治5)に社司の富田光美(とみたみつよし)が古伝によって再興したものである。一方、中世に法者(ほうしゃ)や修験(しゅげん)者と連携した巫女は法者の誦(よ)む祭文につれて巫女が神がかりし、死霊鎮めの舞をまった。
巫女舞の基本は、鈴、榊(さかき)、笹(ささ)、幣(みてぐら)、扇などを採物(とりもの)として回って回り返す旋回運動にあるが、全国各地の巫女舞には美しくまうだけの形式的な舞が多い。託宣の形を残すものには、秋田県の保呂羽(ほろは)山の霜月(しもつき)神楽の神子舞や岩手県宮古市の黒森神社の神子舞と湯立託宣などがあり、神がかり風な舞は島根県の隠岐(おき)神楽の巫女舞に残っている。巫女舞をはやす楽器は、笛、太鼓、銅鈸子(どうばつし)の所が多く、琴や笏拍子(しゃくびょうし)などがつく所もあり、神歌(かみうた)も歌われる。
[渡辺伸夫]
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