御神楽(読み)オカグラ

デジタル大辞泉 「御神楽」の意味・読み・例文・類語

お‐かぐら【御神楽】

神楽」を敬って、また丁寧にいう語。
平屋に、あとから継ぎ足した2階。通し柱がない。
灰かぐら

み‐かぐら【御神楽】

神楽を敬っていう語。特に宮中で行われる神楽をさす。→神楽1

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精選版 日本国語大辞典 「御神楽」の意味・読み・例文・類語

お‐かぐら【御神楽】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
  2. かぐら(神楽)」の尊敬・丁寧語。
    1. [初出の実例]「かぐら一度まはりて おかぐらこそめでたうおりゃらしませ」(出典:虎明本狂言・石神(室町末‐近世初))
  3. 平屋(ひらや)であった家にあとから上に建て増すこと。また、その建物。二階までの通し柱のないものをいう。大神楽(だいかぐら)
    1. [初出の実例]「横町の生花の宗匠が二階、御神楽(オカグラ)だけの事はありしも気味よし」(出典五重塔(1891‐92)〈幸田露伴〉三五)
  4. 灰かぐらのこと。
    1. [初出の実例]「此の時茶釜吹きこぼれる。〈略〉『ヲヤ、お神楽(カグラ)は。恐れるねえ』」(出典:歌舞伎・綴合於伝仮名書(高橋お伝)(1879)六幕)
  5. 江戸吉原の切見世で、見世仕舞いして後の揚代の称。
    1. [初出の実例]「女郎の惣数(そうかず)は〈略〉見せ仕廻ふてからは、おかぐらと名付て十二匁」(出典:浮世草子・元祿大平記(1702)五)
  6. おかぐらそば(御神楽蕎麦)」の略。また、それを売る人。江戸吉原でいった語。
    1. [初出の実例]「内証ではおかぐらもくふ」(出典:洒落本・郭中掃除雑編(1777))
  7. 東京、神楽坂芸者
    1. [初出の実例]「オカグラ(神楽坂芸者)相手のシャボツリ(芸者遊び)とはまるでちがう」(出典:いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉二)

み‐かぐら【御神楽】

  1. 〘 名詞 〙 神楽を敬っていう語。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「みかぐらの召人」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)

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改訂新版 世界大百科事典 「御神楽」の意味・わかりやすい解説

御神楽 (みかぐら)

神楽の美称で,皇室の祭儀として宮中で行われる神事芸能。民間神事の神楽〈かぐら〉〈おかぐら〉〈里神楽〉などと区別してとくに〈みかぐら〉と称する。

 御神楽の起源は,天岩戸の前での天鈿女(あめのうずめ)命の舞であると伝えられるが,これに儀式としての作法が定まり,神楽譜が選定されるのは平安時代に入ってからである。現行御神楽の原形である〈内侍所(ないしどころ)の御神楽〉は,《江家次第》《公事根源》等によれば,一条天皇の時代(986-1011)に始まり,最初は隔年,白河天皇の承保年間(1074-77)からは毎年行われるようになったという。これより古くから宮中で行われていた鎮魂祭大嘗祭(だいじようさい)の清暑堂神宴,賀茂臨時祭の還立(かえりだち)の御神楽,平安遷都以前から皇居の地にあった神を祭る園韓神祭(そのからかみさい)等の先行儀礼が融合・整理されて,採物(とりもの),韓神,前張(さいばり),朝倉,其駒(そのこま)という〈内侍所の御神楽〉の基本形式が定まり,以来人長(にんぢよう)作法,神楽歌の曲目の増減等,時代による変遷はあったものの,皇室祭儀の最も重要なものとして,よく古式を伝えて今日にいたっている。

 御神楽は夕刻から深夜にかけて,神前の庭に幕を張って楽人の座を設け,庭火を焚いて座を清め,これを明りとして行われる。奉仕の楽人は,明治以前までは,堂上,地下(じげ)ともに特定の家柄の者が当たったが,現在は宮内庁楽部の楽人がつとめる。現行24人。その構成は,人長1,和琴(わごん)1,神楽笛1,篳篥(ひちりき)1,笏拍子(しやくびようし)を打つ主唱者2人と唱和の歌方である。これを二方に分かち,神殿に向かって左を本方(もとかた),右を末方(すえかた)とし,神楽歌の本歌,末歌をそれぞれ受け持つ。儀式は人長の作法と,本・末の受け持つ神楽歌から成るが,人長の指図で座を鎮め,《庭火》の曲で各楽器の音を試みることから始まる(人長式)。以下の構成は,〈採物〉〈小前張(こさいばり)〉〈星〉という三つの違った傾向をもつ神楽歌のグループから成るが,ここで現行神楽歌一具(御神楽における神楽歌次第)を掲げる。

(1)人長式の部 《神楽音取(かぐらのねとり)》《庭火》《阿知女作法(あじめのさほう)》。

(2)採物の部 《問籍音取(もんじやくのねとり)》《さかき)》《閑韓神(しずからかみ)》,《早韓神(はやからかみ)》(人長の舞あり)。

(3)小前張の部 《小前張阿知女(こさいばりのあじめ)》《和琴小前張音取(わごんこさいばりのねとり)》《薦枕(こもまくら)》《篠波(さざなみ)》《千歳(せんざい)》《早歌(はやうた)》。

(4)星の部 《星音取(ほしのねとり)》《吉々利々(ききりり)》《得銭子(とくぜにこ)》《木綿作(ゆうつくり)》《朝倉音取(あさくらのねとり)》,《朝倉(あさくら)》《其駒三度拍子(そのこまさんどびようし)》,《其駒揚拍子(そのこまあげびようし)》(人長の舞あり)。

 〈採物の部〉など,各部のもつ意味については,御神楽の意義の解釈によって諸説あるが,今最も一般的な解釈を示せば,〈採物〉は神楽の庭に神を迎える〈神おろし〉,〈小前張〉は神,人ともに楽しむ〈神遊び〉,〈星〉は夜明けとともに神を送り還す〈神あがり〉の部である。曲目中,《早韓神》と《其駒》には人長の舞があり,人長は榊の枝を持って舞う。この御神楽之儀は毎年12月中旬に〈賢所(かしこどころ)の御神楽〉(古くは〈内侍所の御神楽〉)として行われるほか,4月3日の神武天皇祭,即位の大嘗祭(だいじようさい)などにも奏せられる。また,賀茂神社石清水八幡宮など勅祭社であった神社でも御神楽は行われる。宮中で行われる新嘗祭,鎮魂祭などには,前記神楽歌一具以外の神楽歌が歌われるので,以下に曲名を記す。

(1)神嘗祭用神楽歌 《幣(みてぐら)》(採物),《志都也(しずや)》《磯等(いそら)》(以上小前張)。(2)鎮魂祭用神楽歌 《天地(あめつち)に》《神分(かみわか)も》《清(きゆ)らならば》。

 神楽歌の曲目等を知る資料としては《江家次第》《神楽和琴秘譜》《鍋島本神楽歌》等があり,近世以降のものに関しては《楽家録》に詳しい。古式では最初の人長式に人長の名のり等かなり複雑な作法があり,《韓神》の後にも勧盃の後に人長が才男(さいのお)を呼び出して問答をして滑稽(こつけい)な芸をさせるなど,現行のものより人長の活躍が著しい。神楽歌の曲目数も現行より多い。今参考として《楽家録》が〈一条院御定之目録〉として掲げる曲を記す。《庭燎(にわび)》《阿知女》。(1)採物 《榊》《幣》《杖》《篠》《弓》《剣(たち)》《鉾(ほこ)》《杓(ひさご)》《葛(かずら)》《韓神》。(2)大前張 《宮人》《木綿志天(ゆうしで)》《難波潟(なにわがた)》《前張》《階香鳥(しながどり)》《井奈野(いなの)》《脇母古(わぎもこ)》。(3)小前張 《薦枕(こもまくら)》《閑野(しずや)》《礒等(いそら)》《篠波》《殖槻(うえつき)》《総角(あげまき)》《大宮》《湊田(みなとだ)》《蛬(きりぎりす)》。(4)雑歌 《千歳》《早歌》《星》《昼目(ひるめ)》《弓立(ゆだて)》《朝蔵》《其駒》《竈殿(かまどの)》《酒殿》。以上で,当時の神楽歌を大観することができる。
神楽
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百科事典マイペディア 「御神楽」の意味・わかりやすい解説

御神楽【みかぐら】

神楽

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御神楽」の意味・わかりやすい解説

御神楽
みかぐら

神楽

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御神楽」の意味・わかりやすい解説

御神楽
みかぐら

神楽」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の御神楽の言及

【日本音楽】より

…この運動の一環として,外国音楽の様式に日本の歌詞をはめこんだ催馬楽(さいばら),さらにそれが日本的になった朗詠の2種の新声楽が生まれた。また,宮中の祭祀楽も御神楽(みかぐら)として,その形態が整えられ,雅楽の中に含まれるようになった。これらは貴族の音楽であるが,民衆の音楽としては田楽(でんがく),猿楽(さるがく),雑芸(ぞうげい)などが行われた。…

【舞楽装束】より

…日本の雅楽に用いる装束で,大別すると,日本古来の歌舞(うたまい)の舞人装束,管絃の装束,舞楽装束となり,一般にはこれらを総括して舞楽装束と称する。
[歌舞の舞人装束]
 歌舞とは,神楽(御神楽(みかぐら)),大和(倭)舞(やまとまい),東遊(あずまあそび),久米舞,風俗舞(ふぞくまい)(風俗),五節舞(ごせちのまい)など神道系祭式芸能である。〈御神楽〉に使用される〈人長舞(にんぢようまい)装束〉は,白地生精好(きせいごう)(精好)の裂地の束帯で,巻纓(けんえい∥まきえい),緌(おいかけ)の,赤大口(あかのおおくち)(大口),赤単衣(あかのひとえ),表袴(うえのはかま),下襲(したがさね),裾(きよ),半臂(はんぴ∥はんび),忘緒(わすれお),(ほう∥うえのきぬ)(闕腋袍(けつてきほう)――両脇を縫い合わせず開いたままのもの),石帯(せきたい),檜扇(ひおうぎ)(),帖紙(畳紙)(たとうがみ),(しやく)を用い,六位の黒塗銀金具の太刀を佩(は)き,糸鞋(しかい)(糸で編んだ(くつ))を履く。…

※「御神楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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