強装束(読み)コワソウゾク

デジタル大辞泉 「強装束」の意味・読み・例文・類語

こわ‐そうぞく〔こはサウゾク〕【強装束】

公家装束で、ほう直衣のうしなどの地質にのりを固く引き、冠帽類には漆を厚く塗って、折り目をつけた形の着装様式。平安末期から流行した。こわしょうぞく。→萎装束なえそうぞく

こわ‐しょうぞく〔こはシヤウゾク〕【強装束】

こわそうぞく

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精選版 日本国語大辞典 「強装束」の意味・読み・例文・類語

こわ‐そうぞく こはサウゾク【強装束】

〘名〙 公家の装束の、地質が堅地で、絹地に糊を引き、冠帽類に漆を厚く塗る、強く張った着装様式。平安末から流行した。こわしょうぞく。〔海人藻芥(1420)〕

こわ‐しょうぞく こはシャウゾク【強装束】

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「強装束」の意味・わかりやすい解説

強装束
こわしょうぞく

糊(のり)で張りをもたせたこわばって固い地質を用い、直線的な輪郭を表す服装を強装束とよんでいる。これに対して、柔らかい地質でつくられ、しなやかな線を表すものを柔(なえ)装束とよぶ。強装束が生まれたのは、平安時代末の院政期公家(くげ)の生活が非常に形式的になったことと、武士台頭とともに剛直気分萌芽(ほうが)、そして失墜しつつある公家の権威を改めて示す必要から、このような様式の服装が好まれ始めたと考えられる。神護寺蔵源頼朝画像はこの様式の代表的な例である。

[高田倭男]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「強装束」の意味・わかりやすい解説

強装束
こわしょうぞく

こわそうぞくともいう。平安時代末期からの公家男性の糊づけされた直線的な装束。萎 (なえ) 装束に対する語。それまでの公家の服装は着装した際に肩山の線がなだらかであったが,次第に直線的で平面性を強調したものになり,13世紀以降一つの型として完成された。

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世界大百科事典(旧版)内の強装束の言及

【服装】より

…【武田 佐知子】 このように奈良時代から平安時代初期にかけては唐風の服装が流行したが,遣唐使派遣の中止と律令体制の不成功は服装のうえにも反映して,平安中期になると礼服の着用が衰え,朝服が大きく変化して束帯となり,これが礼装として行われ,それを簡略化した布袴(ほうこ)・衣冠が準礼装として用いられた。束帯は奈良時代の朝服が日本化したもので,平安後期に入ると被り物に変化が起こって冠となり,衣も袖が広袖となり,裄(ゆき)や丈が増大し,各部が誇張されたうえにのり付けが行われ,いわゆる強装束(こわしようぞく)となった。束帯は(ほう),半臂(はんぴ),下襲(したがさね),(あこめ),単(ひとえ),表袴(うえのはかま),大口石帯,平緒,魚袋(ぎよたい),(しやく),(しとうず),(くつ)から構成された。…

※「強装束」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」