弾道弾早期警戒システム(読み)だんどうだんそうきけいかいしすてむ(その他表記)Ballistic Missile Early-Warning System

日本大百科全書(ニッポニカ) 「弾道弾早期警戒システム」の意味・わかりやすい解説

弾道弾早期警戒システム
だんどうだんそうきけいかいしすてむ
Ballistic Missile Early-Warning System

略称BMEWS(ビーミューズ)。アメリカ本土防衛用の弾道ミサイル警戒レーダーシステムソ連が北極圏越しにICBM(大陸間弾道ミサイル)で攻撃してくるのを早期に探知するために、アラスカのクリア、グリーンランドチューレ、イギリスのファイリングデイルズの3か所に設置した長距離レーダーとコンピュータ、通信回線などからなるシステムで、1963年7月に運用を開始した。各サイトの超大型レーダー群は、それぞれが左右180度前後の範囲をカバーし、大気圏外を飛翔(ひしょう)するミサイルの探知距離は約5000キロメートルになる。ミサイルがアメリカに到達する15~20分前には探知して、米加合同の北米防空コマンド(北米航空宇宙防衛軍NORAD)に通報、警報を発することができる。1986年からシステムの近代化に着手、レーダーをFPS‐115フェイズド・アレイ・レーダーに更新、多数の小型弾頭の追跡能力を向上させている。BMEWSは、冷戦後も対ロシアあるいは対中国のミサイル警戒システムとして存続している。BMEWSとは別に、海中からのSLBM潜水艦発射弾道ミサイル発射を警戒するレーダーが、アメリカ本土周縁部に配置されている。これらのシステムは、衛星打上げロケットの追跡と、衛星の軌道予測にも役だてられている。

[野木恵一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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