日本大百科全書(ニッポニカ) 「当選訴訟・争訟」の意味・わかりやすい解説
当選訴訟・争訟
とうせんそしょうそうしょう
選挙の手続の瑕疵(かし)を理由として、選挙それ自体の効力の全部または一部の効力を争う訴訟を選挙訴訟というのに対して、当選訴訟は、選挙それ自体は有効に行われたことを前提として、選挙会の行った個々の当選人の決定を違法としてその効力を争う訴訟である。原告適格は、地方公共団体の議会の議員および長の選挙については選挙人または公職の候補者にあり(公職選挙法207条)、国会議員の選挙については当選しなかった候補者(参議院比例代表選出議員の選挙にあっては、名簿届出政党等を含む)に限られるが(公職選挙法208条)、当選訴訟の制度の趣旨は選挙の公正を保障するための客観的訴訟にある。被告は当該選挙を管轄する選挙管理委員会で、第一審は高等裁判所である。選挙管理委員会に対する異議申出や審査の申立てを含めて当選争訟という。
[山野一美]