従量税従価税(読み)じゅうりょうぜいじゅうかぜい

改訂新版 世界大百科事典 「従量税従価税」の意味・わかりやすい解説

従量税・従価税 (じゅうりょうぜいじゅうかぜい)

個別の商品に課税する場合に,課税標準を商品の物的単位にとるか,あるいはその価格にとるかによって,物品税は二つの種類にわかれる。従量税は,酒税とか揮発油税にみられるように,1kl当り何円という形とか,たばこ税の場合のように1本当り何円という形で課される税である。従価税は,課税される物品の価格で表された価値が課税標準としてとられる税である。両税とも長所短所がある。従量税の場合には,課税標準が明確であり,その査定において脱税の可能性も低いうえに,デフレ期において税収を確保することが容易である。他方,納税者は節税のために商品の物的単位を変えるような誘因を与えられる。たとえば,タバコ1本当りいくらという形で課税されるならば,タバコのサイズを大きくして本数を少なくすることにより,税負担額を減らすことができるからである。またインフレ期においては,必要な税収の確保が遅れがちになる。従価税の長所と短所はちょうどその逆で,インフレ期には自動的に税収がインフレ率に対応して増大するようにできている。物的単位を調整して節税をしようというような誘因は与えないが,価値,すなわち物品の価格の査定にはある程度の不確実性も伴い,脱税の道を開くといえる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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