酒税(読み)しゅぜい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

酒税
しゅぜい

酒税法 (昭和 28年法律6号) により酒類に課される消費税納税義務者は製造者または酒類を保税地域から引き取る者である (なお,移出または引き取りなどとみなされる場合がある) 。課税標準は原則として,酒類の製造場から移出しまたは保税地域から引き取る酒類の数量 (従量税) とされ,税率は酒類の種類,品目,アルコール分により分けられた区分に応じて,法定の金額とされる。なお酒類を製造したり,販売したりする場合には,その場所ごとに所轄税務署署長の免許を受けなければならない。 1992年 (級別廃止と税率一本化) ,1996年 (発泡酒の税率の特例制度導入) ,1997年 (ウィスキー,ブランデーなどの税率引き下げ) などたびたび改正されている。

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百科事典マイペディアの解説

酒税【しゅぜい】

酒類(アルコール分1度以上の飲料)に対し,その製造者または保税地域からの引取人を納税義務者として課される国税酒税法(1953年)に規定がある。税率は,酒類の種類別,アルコール分等で異なる。従量税であり,一部適用の従価税は1989年に廃止。特級,一級などの級別は1992年に廃止された。日本の消費税のうち最も古く,重要な地位を占めている。1997年の改正では,世界貿易機関(WTO)の勧告により,ウィスキー,ブランデーなどの税率が引き下げられ,焼酎,リキュール類の税率が引き上げられた。1998年の改正によりウィスキーと焼酎甲類の税率はほぼ同率となった。なお酒類の製造・販売業および酒母,もろみ,麹の製造は税務署長の免許を要する。
→関連項目間接消費税

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅぜい【酒税】

製造場から移出される酒類または保税地域から引き取られる酒類に対し,酒税法(1953年制定)に基づいて課される国税で,消費税の一種。酒類には,タバコと同様高率の負担が課されており,諸外国でも付加価値税等の一般的な消費税とは別に酒税が課される例が多い。これは,酒類が,(1)第一義的な生活必需品ではなく,致酔性を有する特殊な嗜好品であること,(2)適量をこえた消費は健康,道徳,社会秩序の観点から望ましくないこと,(3)その消費はかなり普遍的で消費数量も多く,税を課することにより相当の財政収入が確保できること,等の理由によると考えられる。

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大辞林 第三版の解説

しゅぜい【酒税】

酒類に課せられる消費税。国税として、製造者・引取者が納付する間接税。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

酒税
しゅぜい

酒類に対して課される間接消費税。日本における近代的意味の酒税は1871年(明治4)の太政官(だじょうかん)布告「清酒、濁酒、醤油醸造鑑札収与並ニ収税方法規則」の制定に始まるとされる。その後1896年には酒造税法が、1918年(大正7)には酒精及酒精含有飲料税法と麦酒税法とが制定されたが、1940年(昭和15)に酒税法として総合的に統一された。現行酒税法は1953年(昭和28)に制定され、数次の改正を経て現在に至っている。最近では2006年(平成18)に大幅な法律改正をみた。
 酒類は普遍的な嗜好(しこう)品であり、消費量も多く税収を確保しやすいこと、またあまり大量の消費は社会秩序の面から好ましくないことなどから、高率の税を課されることが多く、世界各国において、所得税にとってかわられるまでは、税制の中心を占めていた。日本においても、明治時代初期には地租が国税収入の大宗を占めていたが、その後、酒税の割合の上昇が著しく、1899年には地租が32.5%で、酒税が35.5%と地租を凌駕(りょうが)するに至った。戦後においても主要国税として地方交付税の財源は所得税、法人税、酒税の32%に定められていたが、国税総額に占める酒税の比率は、1930年で19.8%、1950年18.5%、1960年13.8%、1970年7.9%、1980年5%、1990年(平成2)3.1%、2000年3.4%と低下傾向にある。
 「酒類」とは、アルコール分1度以上の飲料であり、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類および混成酒類の4種類に分類される。酒類の製造者は、その製造場から移出した酒類につき、酒税を納める義務がある。また、酒類を保税地域から引き取る者は、その引き取る酒類につき、酒税を納める義務がある。
 かつては酒税は原則として従量税で、一部の高価な製品にのみ従価税を採用していた。しかしヨーロッパ共同体(現、ヨーロッパ連合)などからの批判もあり、1989年4月に改正された酒税法で、従価税を廃止し、清酒とウイスキーの級別制度を廃止するとともに、従量税の税率も改められた。酒税の課税標準は、酒類の製造場から移出し、または保税地域から引き取る酒類の数量とする。現行制度は従量税の形式をとっており、酒税の税率は、酒類の種類に応じ、1キロリットルにつき、次に定める金額とする。(1)発泡性酒類 22万円、(2)醸造酒類 14万円、(3)蒸留酒類 20万円(アルコール分が21度以上のものにあっては、アルコール分が20度を超える1度ごとに20万円に1万円を加えた金額)、(4)混成酒類 22万円(アルコール分が21度以上のものにあってはアルコール分が20度を超える1度ごとに、22万円に1万1000円を加えた金額)である。
 なお、酒税保全の観点から、酒類の製造および販売業を営むには、所轄税務署長の免許を必要とする。[林 正寿]

その後の動き

政府は1994年、ビール(大瓶633ミリリットル当り)の酒税を10円引き上げた。ビール離れに危機感を抱いたビール会社は、麦芽使用量を規定(67%以上)より抑えた、あるいは政令で定められていない副原料を使った「発泡酒」を開発し、低い酒税を適用して小売価格を抑えた。政府が2003年に発泡酒の酒税を引き上げると、ビール会社は麦芽を使わずに大豆、トウモロコシ、エンドウ豆などでつくった「第3のビール」を開発し、さらに低い酒税を適用して小売価格を抑えた。2017年時点で350ミリリットル当りの酒税は「ビール」で77円、「発泡酒」で47円、「第3のビール」で28円である。
 酒税率の差を利用した割安なビール類の登場や、スーパーマーケットやコンビニエンス・ストアでの酒類販売の拡大で、酒類を販売する小売店のうち、個人経営などの一般酒販店は2015年度に全国で約4万6000店と過去20年で半減した。中小酒販店を支持基盤とする自民党などは、量販店の酒類安売りが「街の酒屋さん」の経営を圧迫しているとして、2016年に議員立法で酒税法を改正(2017年6月1日施行)し、酒類の過度な安売りを規制した。酒類を扱う小売店に、総販売原価(仕入れ値+人件費などの販売管理費)を下回る価格での販売を禁止し、小売店が値下げの原資としているビール会社からの販売奨励金(リベート)の支払い基準を厳しくした。国税庁は酒類取引専門官を新設して監視を強化し、違反した場合、社名公表、50万円以下の罰金、酒販免許取消しなどの処分を科す。政府が酒類の安売りに待ったをかけたため、民間調査機関などによると、ビール系飲料の平均小売価格は2017年6月前後で1~2割程度値上りした。
 さらに政府・与党は2017年3月の酒税法の改正により、「ビール」「発泡酒」「第3のビール」でばらばらであった酒税を2020年度から段階的に2026年度までかけて統一する。ビール系飲料の酒税(350ミリリットル)を55円程度で統一し、「ビール」は22円程度安くする一方、「発泡酒」は8円程度、「第3のビール」は27円程度、それぞれ増税とする。似た味のビール系飲料であるのに税額が異なる日本独特のゆがみを正し、日本のビール会社が値下げにつながる商品開発を競うのではなく、国境を越えた世界市場で競争するように促すねらいがある。[矢野 武]

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世界大百科事典内の酒税の言及

【酒屋会議】より

…明治初期における酒造業者の酒税軽減運動の一つ。当時の租税収入は地租,酒税などに限られていたことから,政府財源における酒税の占める割合は高かった。…

【租税】より

…97年になると,地租は税制の王座を,消費税を中心とする間接税に譲り渡すことになる。酒税,関税,専売益金,印紙収入がしだいに比重を増していくが,とりわけ酒税は99年には単独で地租を凌駕し,地租に代わって税制の王座についた。明治期の税制には,減退の一途をたどる地租と増大を重ねる所得税とが描きだす顕著なコントラストがみられる。…

※「酒税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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