特定の物品を課税対象とする消費税で,国税である。その起源は1937年北支事件特別税法の一環として創設された物品特別税であり,その後40年恒久法として物品税法が制定され,さらに62年に全文改正が行われて今日に至っている。物品税が他の消費税と異なる点は,課税対象が酒税や揮発油税のように1種類の消費財ではなく,物品税という単独税目の形態をとりながら課税対象が多種多様な物品に及んでいることであり,その意味においては,複数税的な特質を有している消費税であるといえる。物品税は,主として奢侈(しやし)品ないしは比較的高価な便益品や趣味,娯楽品等を課税対象とし(〈奢侈税〉の項参照),その税率は,それぞれの物品の消費の態様等を考慮して5%から30%までの税率構造となっている。物品税の課税対象物品は,第1種の物品と第2種の物品とに分類されている。第1種の物品は,貴石,貴金属製品,毛皮製品,じゅうたん等であり,その販売業者を納税義務者として,その小売価格に対して10%または15%の税率で課税される。第2種の物品は,乗用自動車,モーターボート,ゴルフ用具,ルームクーラー,冷蔵庫,テレビ,ステレオ,テレビカメラ,ビデオテープレコーダー,写真機,楽器,ハンドバッグ,時計,化粧品等であり,その製造者を納税義務者として,その製造場移出価格に対し15%を軸として5%から30%までの税率でそれぞれ課税される。なお,これらの課税対象物品のうち,一般消費者の日常生活や産業経済に及ぼす影響を考慮して,一定金額未満の低価格物品や特定の規格を有する物品については,非課税とされている。1983年末現在,課税物品は第1種および第2種の物品を合わせて80品目であったが,89年4月からの消費税導入にともない,物品税は廃止された。
執筆者:藤原 啓司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
特定の物品を対象として課税された、わが国の国税であったが、1989年(平成1)4月に消費税が導入されたことにより廃止された。物品税は、1937年(昭和12)に北支事件特別税法により宝石、貴金属製品、写真機、楽器などの奢侈(しゃし)品に対して物品特別税を課したのが最初で、その後40年に物品税法として独立し、62年(昭和37)に全面改正され、89年の廃止まで続いた。
物品税は単独税目の形態をとっていたが、その対象は多種多様な物品に及び、具体的な物品は物品税法に第1種と第2種に分類されて詳細に規定されていた。第1種の物品は貴石、真珠、貴金属、毛皮、繊維製の調度品などで、その販売業者が納税義務者である。課税標準は小売価格であり、10%または15%の税率で課税された。第2種の物品は自動車およびその関連製品、船艇、娯楽・スポーツ製品、電気・ガス機器、テレビジョン、楽器、写真機、家具、時計、喫煙用具、鞄(かばん)類、化粧品、飲料類などで、その製造業者が納税義務者である。課税標準は製造場から移出されるときの価格であり、税率は普通乗用車や大型モーターボートやゴルフ製品などの30%から飲料類などの5%まで多様であった。
[林 正寿]
出典 (株)ジェリコ・コンサルティング流通用語辞典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…奢侈税というのは,現存する経済・社会や消費態様からみて高級で高価であり,奢侈的とみなしうる財・サービスに課される間接税である。日本の現行税制において奢侈税という名称の税目はないが,物品税の課税物件をみると,貴石,真珠,貴金属製品,べっこう製品,サンゴ,コハク製品,毛皮製品,自動車,モーターボート,ゴルフ道具,パチンコ機等の遊戯具などが奢侈的性格の消費対象とみなされており,税率が高く設定されている(なお1989年4月からの消費税導入に伴い物品税は廃止)。【林 正寿】。…
※「物品税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新