御先・御前(読み)みさき

精選版 日本国語大辞典 「御先・御前」の意味・読み・例文・類語

み‐さき【御先・御前】

〘名〙 (「み」は接頭語)
① 貴人などの先に立って道案内などをすること。先導をすること。また、その位置や、その役。みさきおい。みさきはらい。先駆。前駆。
古事記(712)上「天つ神の御子天降り坐すと聞きつる故に、御前(みさき)に仕へ奉らむとして」
源氏(1001‐14頃)夕顔河原の程、御さきの火も、ほのかなるに」
② 神が使者として遣わす動物。特に、烏・狐・猿などをいう。御先神。御先物。
※申楽談儀(1430)能書く様、その一「其あたりに玉津島の御産有とて、幣帛を捧げければ、みさきと成て出現有体也」
③ 変死した人の霊魂。人にとりついて引き込んだりすると信じられている。特に、西日本地方でいう。みさきがみ。
※みさき神考(1955)〈柳田国男〉六「この方面でいふところのミサキは〈略〉主として、人間非業の死を遂げて、祀り手もないやうな凶魂を意味する」

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