玉津島神社のある島で、現在は陸続きになっている。「万葉集」巻六に「神亀元年甲子冬十月五日、紀伊国に幸しし時に、山部宿禰赤人の作る歌一首」として次の長歌がある。
反歌二首のうち一首に「沖つ島荒磯の玉藻潮干満ちて隠ろひゆかば思ほえむかも」とあり、干潮時には干潟になっていたことが知られる。風光明媚な
「日本後紀」延暦二三年(八〇四)一〇月一一日条には、桓武天皇が「幸紀伊国玉出島」と記され、「紀伊名所図会」は玉出島が本来の表記で「たまづしま」と読んだとする。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
和歌山市和歌浦の南部の地。かつては島であったが、いまは陸続きである。玉津島神社があり、天皇の行幸が多く、聖武(しょうむ)天皇行幸の際に山部赤人(やまべのあかひと)が詠んだ長歌にもその名がみえる。神社の背後に奠供山(てんぐやま)、また付近に妹背山(いもせやま)、観海閣などの名跡が多く、歌枕(うたまくら)として『古今集』『後撰(ごせん)集』などにも詠まれている。
[小池洋一]
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