最新 地学事典 「御岳火山」の解説
おんたけかざん
御岳火山
Ontake volcano
長野県と岐阜県境にある複合成層火山。御嶽火山とも。気象庁の活火山名は御嶽山で,常時観測火山でもある。基底直径約25km,標高3,067m。基盤は,美濃帯中生層および濃飛流紋岩類と,これらを貫く後濃飛花崗岩閃緑岩類。活動は,約78万~40万年前の古期と,約11万年前から現在にいたる新期に2分される。古期の初期に噴出した湯川テフラ5(YUT5)は,房総半島千葉セクションのチバニアン下底の境界層となる白尾火山灰(Byk-E)に対比される。古期の活動終了後,約30万年の休止期の後,新期の活動が11万年前ごろから開始し,現在も活動中。この時期には,山体の中央部に1)流紋岩質軽石噴火と流紋デイサイト質の溶岩ドーム群の形成,2)山頂部の安山岩成層火山体の形成~崩壊,3)北側と現在の山頂部に安山岩成層火山体の形成。4)完新世に三ノ池溶岩の流出などの活動。1)のうち,御岳第I軽石(On-Pm1)は,中部日本から東北中部までを覆い,約10万年前の広域指標テフラ。この時期の砕屑物は木曽谷層として木曽川沿いに段丘をつくる。2)の崩壊による砕屑物は,木曽川岩屑なだれ・火山泥流として濃尾平野にまで達した。1979,2014年には噴出物量106m3オーダ(VEI=2)の,1991,2007年には極小規模な水蒸気噴火。2014年噴火では63名もの死者・行方不明者がでた。1984年長野県西部地震(Mj6.8)の際には南東部の尾根が崩壊し岩屑なだれ。新期の岩石は,中カリ質高アルミナ玄武岩とその分化岩で,カルクアルカリ岩系とソレアイト岩系が相伴う。古期の岩石には,ややアルカリに富むものがある。微量元素組成は,LIL元素とともにHFS元素に富むのが特徴。
執筆者:木村 純一・及川 輝樹
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

