徳蔵地区遺跡(読み)とくぞうちくいせき

日本歴史地名大系 「徳蔵地区遺跡」の解説

徳蔵地区遺跡
とくぞうちくいせき

[現在地名]みなべ町徳蔵

南部みなべ川流域に形成された沖積平野の河口近くに位置する。みなべインターチェンジ建設に伴い、平成一〇年度から一四年度まで約六万平方メートルが発掘調査された。縄文時代中期・後期、弥生時代前期、古墳時代前期の集落などが見付かり、八丁田圃とよばれる条里型地割の形成と展開、室町時代の全国屈指の規模をもつ高田たかだ土居どい(城)の内容などが明らかにされている。

縄文時代中期の集落は船元I−IV式期に帰属し、今まで西日本では集落が明らかにされておらず、空白期とよべる時期のものである。竪穴住居は一四棟検出されているが、一時期に存在する住居は数棟であると考えられる。平面プランは長方形を呈し、一辺が三から四メートル前後で、周壁は約二〇センチ残存していた。住居の周囲からは柱穴や土坑などが数多く見付かっている。このほか西日本最古例となる船元IV式期の埋甕は二基検出されている。東日本で埋甕が普及しはじめる時期に、すでに徳蔵地区遺跡では、その祭祀を瀬戸内文化圏の船元式の土器を使用して取入れている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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