徴税費(読み)ちょうぜいひ(その他表記)expenditure for tax collection

日本大百科全書(ニッポニカ) 「徴税費」の意味・わかりやすい解説

徴税費
ちょうぜいひ
expenditure for tax collection

租税を徴収するための経費をいう。アダムスミスはその租税四原則の第四に、人民がポケットから出す金(かね)と国庫に収められる金との差額をできるだけ少なくすべきであるという、徴税費最小の原則を掲げている。これは徴税請負制や、徴税者の収賄を戒めたのみでなく、租税が過大となって税源を枯渇させてしまうおそれをも指摘したものであった。かくて近代予算制度は、歳入総計主義(徴税費も含めて歳入の総計を計上すること)をとるようになった。

 日本の徴税費は、税収100円当りでみると、2019年度(令和1)は国税1.28円、地方税1.80円となっており、諸外国に比して軽少であるといわれる。これは、日本の所得税および個人住民税において源泉徴収制度が完備しており、いわば源泉徴収される側が徴税費を負担しているためである。また、国税の徴税費に比して地方税のそれが割高となっているのは、前者のほうが1件当りの徴税額が大きいためと考えられる。しかし1989年(平成1)の消費税の施行に伴い、国税の徴税費は増加した。その後、2009年度(平成21)における1.93円をピークとして減少している。

[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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