日本大百科全書(ニッポニカ) 「心音計」の意味・わかりやすい解説
心音計
しんおんけい
心音を心音マイクロホンで測定し、増幅、記録する装置。心音を電磁オシログラフで描記したものが心音図である。心音マイクロホンは20~600ヘルツの測定周波数範囲をもつ特別の変換器で、各種の性能は規格で定められている。心音図の記録には、原則として防音防振室で被検者を仰臥(ぎょうが)させ、胸壁上の測定点に心音マイクロホンを装着して行う。心音図は心音の聴診を機械によって客観化したものであり、臨床的には主として心臓弁膜症、心臓大血管の形態異常など心音の異常がある疾患の診断に用いられる。学童の心臓疾患のスクリーニング(選別)には心音聴診が重要であり、多人数の検診を効率的に行うために心音図の自動判別機能をもった装置が考案されている。また、妊娠、分娩(ぶんべん)に際して胎児の状態を知るために使われる胎児心音計というのがあるが、これは心音図を描くのが目的ではなく、胎児の心拍数を記録して胎児の不整脈や仮死状態を察知するのが主目的である。
[古川俊之]