日本大百科全書(ニッポニカ) 「忌み火」の意味・わかりやすい解説 忌み火いみび 神聖な火。出産や死など穢(けがれ)のあった家の火を意味する所もあるが、本来は斎火(いむび)と同じく、清浄な火のことである。火は穢やすいものとされているので、年の始めに神社から神聖な火種をもらったり、逆に火種を他所に出すことを忌む風もある。伊勢(いせ)神宮では忌火屋殿(いみびやでん)という別殿で、錐揉(きりも)みによって発火させ神聖な火種をつくっている。今日でも出立のとき、火打ち石で発火させ、その火の力によって無事を祈願する切り火の習俗があるが、これも忌み火の一種である。忌み火ということばは、照明の火よりも、食物調理の火の神聖さを強調するとき用いるほうが多い。[鎌田久子] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例