性能設計(読み)せいのうせっけい(その他表記)Performance-based Design

日本大百科全書(ニッポニカ) 「性能設計」の意味・わかりやすい解説

性能設計
せいのうせっけい
Performance-based Design

建物を、想定される荷重火災騒音などに対する性能をもとに設計しようとする考え方。これに対して、経験的なルールなどに基づいた規定で設計する設計体系を仕様設計という。地震荷重については、1995年(平成7)に発生した兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)では、建物崩壊は免れたが、継続使用が不可能となる建物が多く発生した。その原因は、想定される荷重に対する性能について設計段階で十分な検討がなされてこなかったことにある。この考え方は、地震や風に対する荷重のレベルとともに、建物の応答レベルをも想定して設計を行うことを要求している。海外でも1990年代から盛んに検討されはじめ、アメリカにおいて出されたVision 2000(性能に基づいた建築物の耐震工学)などはその代表的なものである。鉄筋コンクリート分野では、同様の考え方のものとして、変形レベルによる損傷度合いを表現したDisplacement-based Designとよばれる設計体系も提案されている。

[上谷宏二・竹脇 出]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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