恋の山(読み)コイノヤマ

デジタル大辞泉 「恋の山」の意味・読み・例文・類語

こい‐の‐やま〔こひ‐〕【恋の山】

恋にまどう心を、踏みこんで惑う山路にたとえた語。
「―繁き小笹をざさの露分けていりそむるよりぬるる袖かな」〈新勅撰・恋一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「恋の山」の意味・読み・例文・類語

こい【恋】 の 山(やま)

  1. [ 一 ] 積もる恋の思いを高い山にたとえていう語。恋の山路。歌語としてしばしば用いられた。
    1. [初出の実例]「など、ありがたき恋の山にしも、惑ひ侍らむ」(出典:承応版狭衣物語(1069‐77頃か)一)
    2. 「おもひかへすみちを知らばや恋のやま端山繁山わけ入りし身に」(出典:建礼門院右京大夫集(13C前))
  2. [ 二 ] 本来比喩的なものを、後世実在の土地にあてはめたもの。山形県中部にある湯殿山歌枕。また一説に、同県酒田市の西方にある国府山とも。
    1. [初出の実例]「粽(ちまき)小笹は恋(コヒ)の山出羽の国庄内に」(出典浮世草子武道伝来記(1687)三)

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