月山の南西にあり、同山の支峰の一つ。大山祇命・大己貴命・少彦名命を祀る。湯殿山神社は北麓
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山形県中央部、鶴岡市(つるおかし)の東部にある山。月山(がっさん)の南西山腹にあたり、最高所は1500メートル。月山火山中でもっとも古い火山で、安山岩や石英安山岩からなり、鐘状を示す。月山、羽黒山とともに出羽三山(でわさんざん)の一つで、湯殿山神社は最高所の湯殿火山の北方を深くうがつ仙人沢にあり、谷底に湧出(ゆうしゅつ)する温泉の沈殿物に覆われた岩石の温泉塔を御神体とする。出羽三山の奥の院ともいわれ、古来口外禁止の地であり、「語るなかれ、聞くなかれ」と戒められてきた。芭蕉(ばしょう)も『おくのほそ道』で「語られぬ湯殿にぬらす袂(たもと)かな」と詠んでいる。湯殿山を経て月山への登拝路は出羽三山のうちの最難所とされた。国道112号が湯殿山温泉まで通じ、その先は湯殿山道路(有料)が参籠所まで通じる。JR羽越本線鶴岡(つるおか)駅から仙人沢までバスの便がある。
[中川 重]
『『出羽三山・葉山』(1975・山形県総合学術調査会)』
山形県中部の山。鶴岡市の旧朝日村に属する。標高1500m。月山の南西に連なる側火山で,月山,羽黒山とともに出羽三山と呼ばれる。元来は一つの山の呼称ではなく,北麓の仙人沢(梵字川源流部)にある温泉塔を神体とする湯殿山神社一帯を指した。空海の開基伝承を伝え,修験者によって古くから開かれたとされ,9世紀には湯殿山登山口の拠点として北西の注連(ちゆうれん)寺(旧朝日村七五三掛(しめかけ)),大日坊(旧朝日村大網)などがつくられている。14世紀には北東の肘折(ひじおり)口(最上郡大蔵村)や南東の日月寺(西村山郡西川町岩根沢)が開かれた。江戸時代には三山の信仰の中心をなしていた。湯殿山頂への登山路はないが,六十里越から湯殿山神社を経て,月山に達する参拝路がある。現在は国道112号線から仙人沢参拝所まで自動車道が通じる。
執筆者:五百沢 智也
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出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…同様に東北最北端の恐山は死霊の集まる霊山とされているが,その宇曾利山湖の周辺には強烈な臭気を発する硫黄泉が噴出し,参詣者の心身をいやす温泉場が設けられている。また出羽三山の一角を占める湯殿山でも,山頂にある神体の大石からは熱泉があふれ,登拝者は裸足をひたして心身のよみがえりを祈る。一般に日本には禊祓の伝統があり,それによって罪やけがれを払うとする観念があったが,温泉による蘇生の観念もそのような伝承と結びつき,とくに治病効果がつよく期待されたのである。…
…山形県のほぼ中央部,朝日山地の北端部に位置する月山(がつさん)(1979.5m),湯殿山(1500m),羽黒山(436m)の三山をあわせていう。月山と湯殿山は近接しているが,羽黒山は両山の北約20kmに位置する。…
…やがて,修験道(しゆげんどう)がさかんになると,各地の修験の霊場には人々の崇敬を集める木食上人があらわれ,そのまわりに半僧半俗の木食行者たちが集まるようになった。また,木食の行も,例えば湯殿山ではそばと飴(あめ)は食することを認めるというように,土地によってこまかな戒が定められるようになった。東北地方を中心に見られる即身仏の信仰の中で,仏になる行者は長期間の木食行によって身心を浄めるとされたが,木食上人への崇敬は,修験系の信仰を通じて日本の各地に広まった。…
※「湯殿山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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