湯殿山(読み)ユドノサン

デジタル大辞泉 「湯殿山」の意味・読み・例文・類語

ゆどの‐さん【湯殿山】

山形県中部にある火山月山がっさん南西に位置し、羽黒山と合わせて出羽三山とよばれる。標高1504メートル。

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精選版 日本国語大辞典 「湯殿山」の意味・読み・例文・類語

ゆどの‐さん【湯殿山】

  1. 山形県中西部の山。月山・羽黒山とともに出羽三山の一つとされる。標高一五〇四メートル。

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日本歴史地名大系 「湯殿山」の解説

湯殿山
ゆどのさん

月山の南西にあり、同山の支峰の一つ。大山祇命・大己貴命・少彦名命を祀る。湯殿山神社は北麓梵字ぼんじ川の渓谷中にあるが、山頂の熱湯の湧き出る巨岩が神体とされる。源泉は三ヵ所あり、頂から湧出しているのが神体で、向かって左側の源泉は出湯大神、右側は真名井大神と称される。湯殿山が三山に組込まれたのは戦国末期頃と思われ三山のなかでは最も新しいものの、近世には三山の総奥院と位置づけられて多くの信仰を集めた。天宥が羽黒山別当となって一山を天台宗に統一しようとしたときには、山麓の大網口大日だいにち坊・七五三掛口注連ちゆうれん寺・本道寺口本道寺・大井沢口大日寺の四ヵ寺(真言四ヵ寺)は、湯殿山の法流は真言と称して同山の支配権を羽黒山と争い、のち羽黒山に対抗して真言浄土信仰への傾斜を深めていった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湯殿山」の意味・わかりやすい解説

湯殿山
ゆどのさん

山形県中央部、鶴岡市(つるおかし)の東部にある山。月山(がっさん)の南西山腹にあたり、最高所は1500メートル。月山火山中でもっとも古い火山で、安山岩石英安山岩からなり、鐘状を示す。月山、羽黒山とともに出羽三山(でわさんざん)の一つで、湯殿山神社は最高所の湯殿火山の北方を深くうがつ仙人沢にあり、谷底に湧出(ゆうしゅつ)する温泉の沈殿物に覆われた岩石の温泉塔を御神体とする。出羽三山の奥の院ともいわれ、古来口外禁止の地であり、「語るなかれ、聞くなかれ」と戒められてきた。芭蕉(ばしょう)も『おくのほそ道』で「語られぬ湯殿にぬらす袂(たもと)かな」と詠んでいる。湯殿山を経て月山への登拝路は出羽三山のうちの最難所とされた。国道112号が湯殿山温泉まで通じ、その先は湯殿山道路(有料)が参籠所まで通じる。JR羽越本線鶴岡(つるおか)駅から仙人沢までバスの便がある。

中川 重]

『『出羽三山・葉山』(1975・山形県総合学術調査会)』

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改訂新版 世界大百科事典 「湯殿山」の意味・わかりやすい解説

湯殿山 (ゆどのさん)

山形県中部の山。鶴岡市の旧朝日村に属する。標高1500m。月山の南西に連なる側火山で,月山,羽黒山とともに出羽三山と呼ばれる。元来は一つの山の呼称ではなく,北麓の仙人沢(梵字川源流部)にある温泉塔を神体とする湯殿山神社一帯を指した。空海の開基伝承を伝え,修験者によって古くから開かれたとされ,9世紀には湯殿山登山口の拠点として北西の注連(ちゆうれん)寺(旧朝日村七五三掛(しめかけ)),大日坊(旧朝日村大網)などがつくられている。14世紀には北東の肘折(ひじおり)口(最上郡大蔵村)や南東の日月寺(西村山郡西川町岩根沢)が開かれた。江戸時代には三山の信仰の中心をなしていた。湯殿山頂への登山路はないが,六十里越から湯殿山神社を経て,月山に達する参拝路がある。現在は国道112号線から仙人沢参拝所まで自動車道が通じる。
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百科事典マイペディア 「湯殿山」の意味・わかりやすい解説

湯殿山【ゆどのさん】

山形県中部の山。出羽三山の一つで,標高1500m。三山の一つとなったのは戦国期末とされ,近世には三山の総奥院とされた。月山(がっさん)の南西部にある寄生火山で,火口壁の一部とされ,火口瀬の梵字(ぼんじ)川左岸に湯殿山神社がある。国道112号から通じるドライブウェーがある。
→関連項目行人坂出羽三山神社西川[町]山形[県]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湯殿山」の意味・わかりやすい解説

湯殿山
ゆどのさん

山形県中部,朝日山地の北部にある山。標高 1500m。月山の南西,寒河江市と鶴岡市のほぼ中間に位置する。梵字川上流仙人沢の奥に湯殿山神社がある。月山羽黒山とともに出羽三山の奥の院ともいわれ,広く信仰されている。社殿などの建造物はなく,輝石安山岩の巨岩から湧出する温泉が御神体である。仙人沢をやや下ったところに仙人沢祈梼所がある。6体のミイラ (即身仏) が残されており,最古は 14世紀のもの。仙人沢でミイラをつくったと伝えられている。国道 112号線より湯殿山道路が通じる。

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事典・日本の観光資源 「湯殿山」の解説

湯殿山

(山形県鶴岡市・東田川郡庄内町)
出羽三山」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の湯殿山の言及

【温泉】より

…同様に東北最北端の恐山は死霊の集まる霊山とされているが,その宇曾利山湖の周辺には強烈な臭気を発する硫黄泉が噴出し,参詣者の心身をいやす温泉場が設けられている。また出羽三山の一角を占める湯殿山でも,山頂にある神体の大石からは熱泉があふれ,登拝者は裸足をひたして心身のよみがえりを祈る。一般に日本には禊祓の伝統があり,それによって罪やけがれを払うとする観念があったが,温泉による蘇生の観念もそのような伝承と結びつき,とくに治病効果がつよく期待されたのである。…

【出羽三山】より

…山形県のほぼ中央部,朝日山地の北端部に位置する月山(がつさん)(1979.5m),湯殿山(1500m),羽黒山(436m)の三山をあわせていう。月山と湯殿山は近接しているが,羽黒山は両山の北約20kmに位置する。…

【木食上人】より

…やがて,修験道(しゆげんどう)がさかんになると,各地の修験の霊場には人々の崇敬を集める木食上人があらわれ,そのまわりに半僧半俗の木食行者たちが集まるようになった。また,木食の行も,例えば湯殿山ではそばと飴(あめ)は食することを認めるというように,土地によってこまかな戒が定められるようになった。東北地方を中心に見られる即身仏の信仰の中で,仏になる行者は長期間の木食行によって身心を浄めるとされたが,木食上人への崇敬は,修験系の信仰を通じて日本の各地に広まった。…

※「湯殿山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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