恐入・畏入(読み)おそれいる

精選版 日本国語大辞典 「恐入・畏入」の意味・読み・例文・類語

おそれ‐い・る【恐入・畏入】

〘自ラ五(四)〙
① 非常に恐れる。すっかりこわくなる。
古今著聞集(1254)一七「『〈略〉』といひて にらみてたてり。此の法師彌(いよいよ)おそれ入たり」
② あやまちを悟ってわびる。悪かったことを認めてあやまる。
※米沢本沙石集(1283)三「これまでも申入候事、返々恐(ヲソレ)入候と御披露候へとて、我と問注に負けて返しかば」
目上の人などに失礼なことをして、おそれおおいと思う。やや形式的なあいさつの言葉としても用いる。
曾我物語(南北朝頃)五「この事、一期の間かなふべからず、おそれいりて候へども、あしき御心得と存じ候」
④ 相手の好意などに対して、ありがたいと思う。かたじけなく思う。現代語では、多く「おそれいります」の形で用いる。
※申楽談儀(1430)田舎の風体「身の一期(いちご)の間の御扶持・孫子までも忘れ申間敷(まうすまじき)御ことにて候。返々(かへすがへす)畏入(オソレイリ)候」
⑤ 相手の力量などにすっかり感心する。圧倒されて頭があがらなくなる。敬服する。おそれる。
開化のはなし(1879)〈辻弘想〉上「只今の御高論隔屏聴(たちぎき)して敬服(オソレイ)りました」
物事程度がひどくてまったく閉口する。あきれはてる。おそれる。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「傘(からかさ)のと冠辞をおいて、骨とつづけて、下の句に、はなればなれなどといふ所が、イヤ、おそれ入(イ)った事さネ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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