意馬心猿(読み)イバシンエン

デジタル大辞泉 「意馬心猿」の意味・読み・例文・類語

いば‐しんえん〔‐シンヱン〕【意馬心猿】

仏語。馬が奔走し猿が騒ぎたてるのを止めがたいように、煩悩妄念などが起こって心が乱れ、抑えがたいこと。

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精選版 日本国語大辞典 「意馬心猿」の意味・読み・例文・類語

いば‐しんえん‥シンヱン【意馬心猿】

  1. 〘 名詞 〙 ( 馬が走り回り、猿が騒ぎ立てるのを制しがたいところから ) 仏語。煩悩、情欲のために、心の乱れをおさえがたいこと。
    1. [初出の実例]「人胸中は意馬心猿と云て、物忩な者ぞ」(出典:両足院本山谷抄(1500頃)四)

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四字熟語を知る辞典 「意馬心猿」の解説

意馬心猿

人の心が煩悩や情欲のために乱れるのをおさえがたいこと。

[使用例] あるいは、実は意馬心猿なりといえどもいかんせんもてず、振られどおしの男のように思うひともあるかも知れぬが[太宰治チャンス|1946]

[使用例] 娘は女中と二人で池で小舟に乗って遊んでいた。それを見ると、侍は「意馬心猿」になって二階から舟へどすうんと飛びおりた[中野重治*梨の花|1953~54]

[解説] 人の「意(こころ)」「心」を馬と猿にたとえた語。馬が走り回り、猿が騒ぎ立てるのを制しがたいところから。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「意馬心猿」の意味・わかりやすい解説

意馬心猿
いばしんえん

人間欲情の自制しがたいことのたとえ。本来は仏語で、煩悩や情欲のために乱れる人間の心の抑えがたいさまを、疾走する馬や騒ぎたてる猿の抑えがたいことに例えた『参同契(さんどうかい)』「発揮(はっき)中」による。『趙州録遺表(ちょうしゅうろくいひょう)』には「心猿跳(おど)るをやめ、意馬馳(ち)を休む」などとある。

[田所義行]

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世界大百科事典(旧版)内の意馬心猿の言及

【動物】より

…なお,馬はプラトンからS.フロイトに至るまで情欲のシンボルとしても考えられてきた。仏教にも〈意馬心猿〉ということばがあって統制しがたい私欲のたとえとする。 ヨーロッパ以外の地域でも,狩猟生活,牧畜生活,農業生活に応じて,それに対応する動物イメージが生まれてくる。…

※「意馬心猿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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