感染性心内膜炎の予防

六訂版 家庭医学大全科 「感染性心内膜炎の予防」の解説

感染性心内膜炎の予防
(循環器の病気)

どのような人に感染性心内膜炎予防が必要か?

 先天性心疾患をもつ人のほとんどは、感染性心内膜炎の予防が必要です。とくに、何らかの弁の植え込み後、人工血管を用いた手術後ラステリ手術など)、ファロー四徴症(しちょうしょう)の術後などは注意が必要です。

 日本人には少ないといわれている、大動脈弁が2つしかない状態(大動脈二尖弁(にせんべん))でも、感染性心内膜炎の予防が必要です。大動脈二尖弁が疑われれば、専門医の診察を受けてください。

 しかし、心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)の治療前・治療後、心室(しんしつ)中隔欠損症の術後、動脈管開存症の治療後、軽度肺動脈弁狭窄症など、病気によっては感染性心内膜炎の予防が必要ない場合がありますので、医師に相談してください。

乳歯の自然抜歯の際に抗生剤をのむ必要があるか?

 最もよくたずねられる質問です。筆者は、まず、いつ乳歯が抜けるかわからないこと、ガイドラインでは自然抜歯では心内膜炎の予防は不必要とされていることから、「必要ありません。ただし、両親が引き抜く時は抗生剤をのんでからのほうがよいでしょう」と答えています。

どの薬をのめばよいか、歯医者さんに聞いてこいといわれたが?

 どれがいちばんよいというものはありません。また、これでなくてはいけない、というものもありません。

 筆者がよくすすめる方法は、アモキシシリン(サワシリンなど)を成人量で2g(小児で50㎎/㎏)、治療の1時間前に1回でのむ方法です。1回の量が多いので、よく薬局などから処方について問い合わせがきます。

 また、最初から点滴で抗生剤を投与する場合もあります。

 その場合には、6時間後にもう1回点滴をするか、経口で服用するようにすすめる場合もあります。

抜歯以外でどんな場合に予防が必要か?

 一般的に麻酔を必要とする歯科治療、少量でも出血する可能性のある歯科治療、口、鼻から肛門までの消化管手術、尿道手術、呼吸器手術では予防が必要です。

 組織検査(生検)をしない消化管内視鏡では必要ないとされていますが、ポリープなどが見つかることもあるので、予防しておいたほうが無難かもしれません。

 また、正常のお産でも予防をすすめています。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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